官民一体で「そのぎ茶」を世界へ、その一員に。|移住者インタビュー|よか暮らし - YOKA Kurashi
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[移住者インタビュー]東彼杵時間

官民一体で「そのぎ茶」を世界へ、その一員に。東彼杵町

東彼杵町
「長崎いけどき茶プロジェクト」ゼネラルマネージャー
マヨレインライマケルスさん
profile
オランダ王国・ユトレヒト出身。2011年に初来日。2020年4月にオランダより移住予定だったが、コロナで3年延期に。2023年5月に晴れて、東彼杵町に移住。
大村湾の東側に位置する長崎県有数のお茶の産地・東彼杵町へオランダから移住してきたマヨレインさん。そのきっかけは、世界各国のお茶の研究家でもあるマヨレインさんは、代表・松本靖治さんからの誘いを受け、東彼杵町への移住を決意。「お茶を知れば、まちの魅力も見えてくる」と語るマヨレインさん。彼女の目から見える東彼杵町は、一体どんな可能性を秘めているのでしょうか。

「長崎いけどき茶プロジェクト」

マヨレインさんが現在ゼネラルマネージャーを務める「長崎いけどき茶プロジェクト」は、「お茶で世界をもっと平和に」をミッションに2020年に立ち上げられた、東彼杵町の特産「そのぎ茶」をはじめとした長崎のお茶の魅力を海外へ発信し、インバウンドの獲得や販路の拡大を目指すプロジェクトです。“いけどき”とは、東彼杵や大村の方言で「お茶の時間」や「休憩(憩いの時)」を表します。

2020年に開始されたこのプロジェクトの発起人は松本靖治さん。京都の茶産地・和束町「ティーツーリズム(茶産地観光)」の第二の拠点として東彼杵町へ移り住む際、マヨレインさんをプロジェクトメンバーに誘ったことがきっかけでした。

2016年ひとり旅で、東彼杵町を初めて訪れたマヨレインさんを待っていたのは、町長をはじめ地元住民たちによる厚い歓迎でした。

「はじめはただの観光客だったのに、ものすごく歓迎してくれて驚きました。色々とお話を聞くと、東彼杵町を通る長崎街道とオランダは歴史的な繋がりがあると知り、とても縁があると感じました」

その後、移住へと準備を進めていた矢先、コロナ禍に見舞われ、入国すらできないもどかしい3年間を経て、ようやくオランダから東彼杵町への移住を実現しました。

「(ここに来るまで)長かった。ようやく来れて嬉しいです」と柔和な笑顔で語ります。

移住先の住居や金銭的な面など苦労する面も多々ありましたが、松本さんのオフィスを間借りし、生活資金は会社からの給料でカバーすることができました。「松本さんのサポートのおかげです。本当に感謝しています」。

「そのぎ茶」を通じて東彼杵町を盛り上げるプロジェクトメンバー、そして町民の一人として住民たちから温かく出迎えられたマヨレインさん。日本生活の良いスタートを切ることができました。

おもてなしの一杯で、お茶の産地と世界の架け橋に

移住した同年に始まったばかりのプロジェクト「そのぎ茶アンバサダー・プロジェクト」のメンバーにも就任。

移住してから3ヶ月後に行われた「第0回そのぎ茶アンバサダー初級講座」ではマヨレインさんが講師を務め、長崎県内のALT(外国語指導助手)の先生を対象に、茶畑や工場見学、お茶の知識や淹れ方のレクチャーを通じてそのぎ茶の魅力を伝えました。

「定員以上の参加があり、国籍や年齢を越えての交流ができました。素晴らしかった」。お茶は文化や人を繋ぐきっかけになると、笑顔をほころばせます。

発信に伴うインプットも不可欠。「そのぎ茶」を通じてまちの魅力を発信するため、歴史について調べたり町内各地のお茶農家を訪ねるといったフィールドワークも欠かせません。

その傍らで英会話を教え始めるようになってからは、さらに人との繋がりも増えました。

「私がそもそもお茶に興味を持つきっかけにも繋がるのですが、情熱を感じたり興味を感じることが全てお茶に繋がっているんです。誰もが感じる懐かしくも温かいおもてなしの気持ちは、国や地域を越えるんだと感じます」。

人と人、国と国が繋がり、おもてなしの心で世界を平和に。一杯のお茶にはそんな大きな可能性が秘められているのです。

茶畑の景色はオールシーズンでお気に入り

マヨレインさんに「東彼杵町でお気に入りの場所は?」と尋ねたところ、「たくさんあります!」と困り顔。おいしいランチやオシャレなカフェ、自然あふれるスポットなど、まだまだ気になる場所はあるけれど自家用車がないので移動が不便……と前置きがあったところで、「歩いてよく通っている場所がある」と教えてくれたのが、山間にある広大な茶畑。

「東彼杵町で一番好きな風景です。晴れの日も曇りの日も、雨の日も、朝日が登り夕日が沈む瞬間も、全てが好きです」

高齢化が進み、お茶農家も減少の一途を辿っているという東彼杵町。この美しい景色をこれからも守っていきたい。「官民一体となってまちを盛り上げているのも東彼杵町の魅力です」と語ったうえで、役に立ちたいと意欲を見せるマヨレインさん。

「素晴らしい自然と人々のコンビネーションが東彼杵町の魅力であり強み。あたたかい田舎の良さをすごく感じます。お茶だけでなく深い歴史があるまちです」

今後もオンライン、オフライン関わらずインバウンド向けのティーツーリズムや、お茶のオンラインストアなどを通じ、お茶の味だけでなく農家やまちのストーリーも世界に向けて伝えていけたらと目を輝かせます。
「見てください。これはまだ茶葉の赤ちゃん、可愛いでしょう。これから大きくなるんですよ。収穫のシーズンが楽しみです」と愛おしげに微笑むマヨレインさんを見ていぬると、東彼杵町への愛がひしひしと伝わってきます。

そんなマヨレインさんに会いに、ぜひ東彼杵町を訪れてみてください。あなたもきっと、このまちが好きになるから。