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昔語りと鶸(ひわ)

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今日は、山村暮鳥の詩を二篇紹介しましょう。


昔語り

昔、昔の
そのむかし
昔の話をきかさうか
ぢぢが
こどもの
そのころも

山には霧がかかつてた
森には小鳥がないてゐた





山奥で
ついーん、ついーんと
ないてゐるのは
鶸の子
そのやまおくの
ほそみちの
ながいこと
ついーん、ついーんと
ないてゐる鶸の子



短い詩が二篇。

「昔語り」は、もう少し続きがありそうだけれど、余韻を残している。

「鶸の子」は、母を呼んで鳴いているのか、「ついーん」という声が悲しそうに山の中に響く。

山の詩なので涼しい気分にしてくれるような気がする詩である。

There are two short poems.

The second poem seems like a voice calling for its mother.

Two poems make me feel cool with mountains.

'' Tammy ''をお聴きください。


蜀黍畑(もろこしばたけ)

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今日は、山村暮鳥の詩を紹介しましょう。

太陽はいま蜀黍畑にはいつたところだ

一日の終りのその束の間をいろどつてゆつたりと
太陽はいま蜀黍畑にはいつたところだ
大きなうねりを打つて
いくへにもかさなりあつた丘の畑と畑とのかなたに
赤赤しい夕燒け空
枯草を山のやうに積んだ荷馬車がかたことと
その下をいくつもつづいてとほつた

何といふやすらかさだ
此の大きいやすらかな世界に生きながら人間は苦んでゐる
そして銘々にくるしんでゐる
それがうつくしいのだ
此のうつくしさだ

どこか深いところで啼いてゐるこほろぎ
自分を遠いとほいむかしの方へひつぱつてゆくその聲
けれど過ぎさつた日がどうなるものか
何もかも明日(あした)のことだ
何もかも明日のことだ

*蜀黍畑(もろこしばたけ)



一日の終わりを彩る夕焼け空は美しい。

安らかな景色の中に生きながらも、人々は苦しんでいる。

過ぎ去った日を思い出してもどうにもならない。

明日に向かって生きてゆこう。

It's beautiful to see the sunset sky colors the end of the day.

But people are suffering even while living in a peaceful landscape.

There's no point in remembering the days gone by.

Let's live towards tomorrow.

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」 間奏曲をお聴きください。


雨の詩

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今日は、山村暮鳥の詩を紹介しましょう。

雨の詩

ひろい街なかをとつとつと
なにものかに追ひかけられてでもゐるやうに驅けてゆくひとりの男
それをみてひとびとはみんなわらつた
そんなことには目もくれないで
その男はもう遠くの街角を曲つてみえなくなつた
すると間もなく
大粒の雨がぽつぽつ落ちてきた
いましがたわらつてゐたひとびとは空をみあげて
あわてふためき
或るものは店をかたづけ
或るものは馬を叱り
或るものは尻をまくつて逃げだした
みるみる雨は横ざまに
煙筒も屋根も道路もびつしよりとぬれてしまつた
そしてひとしきり
街がひつそりしづかになると
雨はからりとあがつて
さつぱりした青空にはめづらしい燕が飛んでゐた



情景が浮かぶような詩である。

大粒の雨がぽつぽつ落ちて来て、人々はあわてふためき・・・

人々は、雨が降って来るまで全く気づかない。

大雨が降って来て初めてあわてる。

美しい青空に燕の姿が印象的である。

It's a poem that a scene appears.

Large drops of rain began falling.

People don't notice until it rains heavily.

The appearance of the swallow is impressive in the blue sky.

Melancholic Piano をお聴きください。


野良道

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今日は、山村暮鳥の詩を紹介しましょう。

野良道

こちらむけ
娘達
野良道はいいなあ
花かんざしもいいなあ
麥の穗がでそろつた
ひよいと
ふりむかれたら
まぶしいだらう
大(でつ)かい蕗つ葉をかぶつて
なんともいへずいいなあ


おなじく

野良道で
農婦と農婦とゆきあつて
たちばなししてゐる
どつちもまけずに凸凹な顏をし
でつかい荷物を
ひとりのは南京袋
もひとりののはあかんぼ
そのうへ
天氣がすばらしくいいので
二人ともこのうへもなく幸福さうだ
げらげらわらつたりしてゐる



二つの詩とも、長閑で幸せそうな感じがする。

若い娘達は蕗の葉っぱをかぶっている。

下の詩は、農婦と農婦が立ち話をしている様子である。

げらげらわらって幸せそうに見える。

野良道は多くの人たちが通り、皆貧しくても幸せそうに暮らしているのを詩人も喜んでいる。

People who pass on the farm road look peaceful and happy.

Young girls put on butterbur leaves as hats.

Farm women are laughing and chatting.

The poet is happy with people.

ブラームス:4つの歌 第2曲 5月の夜をお聴きください。


もろこし畑

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今日は、山村暮鳥の詩を紹介しましょう。

太陽はいま蜀黍(もろこし)畑にはいつたところだ

一日の終りのその束の間をいろどつてゆつたりと
太陽はいま蜀黍畑にはいつたところだ
大きなうねりを打つて
いくへにもかさなりあつた丘の畑と畑とのかなたに
赤赤しい夕燒け空
枯草を山のやうに積んだ荷馬車がかたことと
その下をいくつもつづいてとほつた
何といふやすらかさだ

此の大きいやすらかな世界に生きながら人間は苦んでゐる
そして銘々にくるしんでゐる
それがうつくしいのだ
此のうつくしさだ
どこか深いところで啼いてゐるこほろぎ
自分を遠いとほいむかしの方へひつぱつてゆくその聲
けれど過ぎさつた日がどうなるものか
何もかも明日(あした)のことだ
何もかも明日のことだ



この詩の前半の部分は、美しい情景が描かれている。

後半は、安らかな世界に生きながらも苦しんでいる人間が表現されている。

しかし、詩人は苦しんでいる人間も美しいという。

コオロギの鳴き声が、彼を遠い昔の思い出の方へ引っ張っていく。

This poem is a beautiful scene in the first part.

The poet says in the latter half that people are suffering even though we live in a peaceful world.

But he says that people who suffer are beautiful.

The sound of crickets takes him back to memories of the past.

ハウザーの Piano Concerto No. 2 をお聴きください。


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