にほんブログ村今日は、山村暮鳥の詩を紹介しましょう。
太陽はいま蜀黍(もろこし)畑にはいつたところだ一日の終りのその束の間をいろどつてゆつたりと
太陽はいま蜀黍畑にはいつたところだ
大きなうねりを打つて
いくへにもかさなりあつた丘の畑と畑とのかなたに
赤赤しい夕燒け空
枯草を山のやうに積んだ荷馬車がかたことと
その下をいくつもつづいてとほつた
何といふやすらかさだ
此の大きいやすらかな世界に生きながら人間は苦んでゐる
そして銘々にくるしんでゐる
それがうつくしいのだ
此のうつくしさだ
どこか深いところで啼いてゐるこほろぎ
自分を遠いとほいむかしの方へひつぱつてゆくその聲
けれど過ぎさつた日がどうなるものか
何もかも明日(あした)のことだ
何もかも明日のことだ
この詩の前半の部分は、美しい情景が描かれている。
後半は、安らかな世界に生きながらも苦しんでいる人間が表現されている。
しかし、詩人は苦しんでいる人間も美しいという。
コオロギの鳴き声が、彼を遠い昔の思い出の方へ引っ張っていく。
This poem is a beautiful scene in the first part.
The poet says in the latter half that people are suffering even though we live in a peaceful world.
But he says that people who suffer are beautiful.
The sound of crickets takes him back to memories of the past.
ハウザーの Piano Concerto No. 2 をお聴きください。