前期白亜紀に起きた激しい地殻変動の直前、当時の日本には温暖な陸地があり、植物が繁茂していました。なぜこのようなことがわかるのかと言うと、大規模な火山活動の痕跡である原地山層よりも以前の、前期白亜紀の泥岩(陸中層群小本層)中から熱帯~亜熱帯を示す植物(領石植物群)や軟体動物の化石が産出されたためです。
前期白亜紀小本層の植物化石は、岩泉町小本(おもと)の国道45号の旧道沿いの崖面で観察できます。小本層から産出する植物群は、領石植物群と呼ばれる熱帯~亜熱帯植物の産出分布の北限であり、日本における中生代植物の重要な化石の産地となっています。前期白亜紀に北上山地に起きた変動期直前の環境を復元する化石として非常に貴重です。