動能構文と所有者上昇構文 : 英語と日本語の窓
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動能構文と所有者上昇構文

前置詞の at がついて自動詞になる動能構文をとる動詞は一般的に目的語が因数分解して所有者上昇が生じる可能性が高い。例えば throw と hit の2つの動詞を比べてみよう。

(1)
a. John threw the ball.
b. John hit the wall.

両方とも他動詞であるが目的語の意味上の役割が異なる。 (1a) の目的語の the ball は John の場所から移動するが (1b) の the wall は位置が変わらず、それに対する主語の John や John の体の一部が移動する。前置詞 at は移動の方向を表すから動詞の後に at をつけると主語の移動が生じる必要がある。他動詞に at を挿入して自動詞にする場合は主語の移動が必要となる。主語の移動が生じない throw タイプは動能構文にならないと予測される。

(2)
a. *John threw at the ball.
b. John hit at the wall.

なにかが移動するものの後に前置詞 at をつければ問題がないので (1a) も次のようにすると正文となる。

(3)
a. John threw the ball at the wall.

とにかく他動詞と自動詞との交替をもたらす動能構文交替はものやなにかの移動が必要なものである。これらからなにが移動するかを中心にみてみると

(4)
a. *John broke Tom on the neck.
b. John touched Tom on the neck.

(4a) がなぜ所有者上昇構文をもたらさなく、 (4b) がなぜ所有者上昇構文でも問題ないかがわかる。

(5)
a. John broke Tom's neck.
b. John touched Tom's neck.

(5) の文は主語にある名詞句の移動の点からみると (1) の場合と非常に似ているのである。移動が生じる場合には動詞の後に at がついたり、所有格のついた名詞句が分解されて所有者上昇構文になったりするのである。



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by miyakmae | 2023-01-25 08:37 | 言語 | Comments(0)

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