恐るべし、クラッセW

Fuji KLASSE W / Super EBC Fujinon 28mmf2.8 / Fuji RDP III
フジが日比谷のフォトエントランスで行っているスナップセミナーに行って来ました。
同社が誇る高級コンパクトカメラ、クラッセ(W、S)を貸し出してもらって、手軽に街角スナップを撮ってみようという会です。
フィルム(プロビア100)と現像付きというのもあって、普段好き放題やり散らかしている写真に、参考になるものをひとつ加えてみたいな……とか思って参加しました。
そしたら、うっかり。
結構、しゃれた写真を撮ってみましょう、みたいなテーマで話が進んでしまい、いや、もともとそういうテーマだったんですが、普段ボロ屋とか撮って悦に入っている自分は戸惑うばかりでした(苦笑)。
スライドを見たり、構図とか露出とかの話を聞いたり、あれよあれよという間に、二時間あげますから撮ってきてくださいネ、ということになり、仕方がないので銀座をうろつく羽目に。
たまには与えられたテーマに沿った写真を撮るのも勉強になるよね、と、最初数枚こそ御洒落スナップを志したものの、あっという間に挫折。結局、いつものノリで変なものを探しては撮るというスナップぶりになってしまいました。
こう、いい被写体を見つけたら色々条件を変えて何枚も撮ってみてくださいね、というアドバイスもすっかり忘れてました。小走りで接近→バッと一枚撮って離脱するという、考えてみればいつもどおり、アドバイスとは間逆な感じです……。

まあいいやと思ってフィルムを提出したので、二日目の講評会には正直行きたくなかったんですが(笑)、カメラに助けられました。
クラッセW、まったく恐るべきカメラです。
コンパクトらしからぬ高価格、常について回る「一眼レフをも凌ぐ写り」みたいなコピー、プロ写真家のベタ褒めもあって、なんだか親しめないなあと思っていましたが、実際撮ってみて、出来上がってきたポジを見てみると、確かにこれはやばいカメラです。
スーパーEBCフジノンレンズの28ミリ・f2.8の性能はかなりのもので、歪みもほとんどないし、ヌケや色の出方も非常によろしいです(もちろんフィルムもいいのですが)。30センチまで寄れて500分の一秒まで切れるって性能も変な一眼以上。イハゲーのイクサなんか175分の一秒が限界で、テッサーつけて35センチだよ(東独モノと比べるな)。レンズシャッターだからか、スローシャッターでブレないというのも特徴で、15分の一秒以下でもかなりモノにできてます。
コンパクトカメラといえば3000えんで買ったボロのフジカデート(目測)しか持ってない僕にとってはフルオートのコンパクトというのは新鮮で、かくも便利なものかよと思い知りました。
クラッセWの場合、オートフォーカスにせよ露出にせよ精度がかなり高いため、いい加減に撮ったはずなのにカメラぢからで写真にしてくれちゃった、みたいな印象を受ける始末です。あれ、俺、こんなにちゃんと撮ったんだっけ? と目を疑うほど。

Fuji KLASSE W / Super EBC Fujinon 28mmf2.8 / Fuji RDP III

Bessaflex / EBC Fujinon 55mmf1.8 / Kodak ED-3
論より証拠ということで……写真は、クラッセとベッサフレックス+EBCフジノン55ミリf1.8でそれぞれ撮ったものですが、くそう、ちょっと負けたような気がするぜ(笑)。
28ミリと55ミリ、ISO100と200(Bessaflexにはコダックのエリートクローム200を入れていました)という差はもちろん大きくあり、M42のEBCも35年前のレンズでちょっと黄変気味で曇ってる割には充分な写りなんですが、重量差500グラム強でこれというのは、考えてみれば物理的に馬鹿馬鹿しい話です。フットワーク全然違うでしょう……。
音も静かだから気づかれないし、気づかれてもコンパクトカメラだと相手があんまり警戒しないというのも本当で、なあんだ他愛も無い、とか思ってくれるみたいなんだけど実はしっかり写真にできてるという、このギャップが凄まじいです。

……欲しくなってしまいました。
でもかなり高いので、しばらくはレンズ蒐集を調整しつつ貯金をせねば買えぬことでしょう。
というか、こんなのがあったら、デジカメいらない。一眼レフもいらなくなっちゃいます(笑)。
やばいやばい。