7月23日付 Facebookに書いたものを
少し手直しして置きます:
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<たそがれトークバック FB公開往復書簡vol.3 7/23>
Yonedaさんへ
先週末7月19日、何年かぶりに、実家で過ごしました。
お祭りの晩でした。
むかし、うちの商店街に、まちじゅうからお客さんが
来ていたころ、店主たちが祭りの主催者となり、
おおいに盛り上げ、賑やかに過ごしたものでした。
どの店もシャッターをおろして久しくなったいま、
そんなことがあったというほうが、信じられないくらいです。
町のお金(地域振興予算とかかな?)で花火をあげるようになって
はや10年。。。この日、屋台を歩くこどもたちにとっては
こちらのほうが当たり前の光景になんやなあ〜と思うと
わたしでさえモヤモヤした気持ちになりますから
ずっとここにいる父と母はどうだろうか。
母いわく、
父は「町」があげる花火を一度も見ないのだそうです。
今年の夏もそうでした。
家の2階から、母とわたしの二人で花火を見ましたが、
じつはわたしと母も、花火は見るけれど、
家の前で繰り広げられる夜店の喧騒は見たくなくて、
一度も表に出ないでいるのでした。
そして、、、
わたしと母が、花火を見るのは、
「町」があげる花火がどれほどのもんか を、確かめるため。
そう、Yonedaさん。
これは「負け組」による定期観測なんです。
翌朝、母と店の拭き掃除をしました。
お客さんがこなくなったいまでも、ときどき需要があるという
「極細網」(ごくさいあみ)という、波佐見焼のお茶碗。
薄手のきれいな磁器です。
もう1つ、「立枠」(たちわく)という模様の有田焼の土瓶。
これらは定番で、使っている人が、割ってしまったり
追加で欲しいというときに、店に来られるそうです。
わたしが、京都の荒物屋さんで「ふのり」を扱っているお店の方が
「必要な人がある限りは置いてます」と言われたという話をしたら
母は「そうかそうか。せやなあ、欲しい言う人がいはったら、なあ。」
と言いました。
商店街もですが、仕入れ先の窯元も、たくさん辞められました。
先に述べた「極細網」を手描きするのは、
たいへんに根気の要る大変な作業だそうで、
出来る職人さんがどんどんいなくなってしまっているそうです。
そこで思いました、
わたしは以前、うちの店の商品のことを
「デッドストック」と書いたのですが
おおきな間違いだったと。
必要としている人を、待っている商品。
ーーたそがれの時間は、なかなか終わらなくて、
思っていたよりも、ずっとずっと長く、
思っていたよりも、絶望的ではなく、
こうしたなかでなければ出会えない、
忘れられない時間が、あまりにも多いです。
加藤わこ
※たそがれトークバックは、Yonedaとwakokatoが
読み物や映像などを通して話しをする小さな集まりです。
毎月1回、様々な会場を巡業しながら続けていきます。
次回は8月28日(木)の夕刻、京都市内で開催する予定です。
ご都合のよいかた、どうぞお気軽にお越しください。
お茶と軽食を用意しますので、事前にお知らせいただけると助かります。
(info@sandogasa.net )
「トークバック」という名前は、坂上香さんのドキュメンタリー映画
「トークバックー沈黙を破る女たち」からいただいています。
HIVに感染した女性たちが演劇を通して自らの尊厳を回復していくなかで、
出演者だけでなく周囲や観客もまた変化していく様子が描かれています。
たそがれトークバック公開往復書簡は、告知や打ち合わせ、
関心を持つ人とのやりとりを兼ね、それらまるごとで作られる一つの演劇です。