京終「永井酒舗」 今まで訪問した中で一番最高の『暖簾』の酒場を見つけた!
「奈良県」
ボクは京都出身で大学時代は京都駅前近くに住んでいたが
隣接する奈良へ行ったことは片手で数えれる程度。
しかもそれは軟式野球部の試合で訪れたのであって
遊びで奈良へ行った事は・・・多分ない。
京都を出て遊びに行くと言えば、大体が大阪で
たまに三ノ宮へ行くのが定番だった。
近いようで遠かった奈良県・・・
大人になって
ましてや酒場ナビをやっていて
この街の酒場を知らないなんて恥ずかしい・・・
ボクは急いで京都駅から近鉄奈良線へ乗り込んだ。
奈良駅へ到着すると
溢れんばかりの外国人と修学旅行生・・・
地元の人を探す方が困難である。
「奈良は修学旅行で行ったことある」
大体の方は奈良へ行ったのは子供の頃だと思うのだが
やっぱりどう考えても、奈良の良さは大人になってからの方が分かるのでは・・・
奈良公園へ到着すると、絶対に子供の頃に訪れた時よりテンションが上がっている自分がいた。
沢山の鹿さんにご挨拶。
やっぱりボクは群に属さない孤高の鹿が好きかな。
「大丈夫さ、オレもお前と同じだよ」
お互いの世界で生き抜くことを約束し、奈良公園をあとにした。
奈良公園の滞在時間は10分くらいで、早速『大人の酒学旅行』へスイッチ。
オススメされた超高温サウナ「ほてい湯」で汗を流したあとは・・・
勿論酒場へ。
セント酒が最高なのは知ってるが、それが旅先なら尚更最高なのだ。
ちなみにこの銭湯の最寄り駅はJR「京終」駅で
京都が終わると書いて「きょうばて」と読むのである。
攻撃的な知名だが
ボクは奈良人が京都人の事を好きだと信じている。
そんな京終の
どこの街にでもありそうな酒屋さんが、本日の目的酒場。
「永井酒舗」
どこにでもありそうな酒屋さんだが、店の右側に明らかな赤い異彩・・・
「酒店」ではなく、「酒舗」
初めてみる屋号だ。
なんて読むんだ・・・?
お店の左側は酒屋さんで
お酒の自販機が好印象である。
しかしそんなお酒自販機の好印象なんて吹っ飛んでしまうくらいの
お店の右側!
立呑処があるのだっ!!
圧巻の存在感を誇る赤暖簾。
キリン生ビール
串
天麩羅
立呑
の文字を縦に書くというハイセンス。
縦に長い暖簾のデカさ
文字のフォント
赤と白バランス
どれをとってもパーフェクトで、文句のつけどころがない。
今まで見てきた酒場の暖簾の中で
一番カッコいいかもしれない・・・
記憶に新しいカッコいい暖簾と言えば
広島の「初ちゃん」が素晴らしかった。
縦長の斬新さもあいまって、その初ちゃん暖簾を超えてきたかも・・・
と思い、初ちゃんの暖簾も再度見返したが・・・
うん、やっぱりこっちも素晴らしすぎる。。。
決めたぞ
自分のお店を出すなら、暖簾は絶対に赤色だな。
暖簾の興奮が抑えきれぬまま
暖簾をくぐるのがちょっぴり勿体無いと思う、初めての気持ちで店内へライドオン。
「どこの者だ?」
なんて空気感を予想したが
意外にもママさんはあっさりと「そこどうぞ〜」と案内してくれた。
立ち呑みスタイルで
暖簾に負けないくらいの赤いテーブルがこれまた最高。
決めたぞ
自分がお店を出すならカウンターは絶対に赤色だな。
「レモン酎ハイ」
お客さんは全員常連さんのようだ。
店内をじっくりと観察するボクに
「何食べる?」
とすぐに聞いてくれたママさん。
”気を遣ってくれたんだ”と思っていたが、理由がそれだけではないのが、あとで分かるのであった。
メニューはあれか・・・
赤テーブルの上のおツマミたちを、もっと間近で見たいぜ・・・
奥の席まで行けば見れるが
まだあっちは先輩方の領域・・・
チクショー
スマホのアップでも限界があるぜ。
店員のマスターとその息子さんが
常連さんたちと楽しそうに話してる。
奥の席が羨ましいぜ。
ボクの真横におでんメニューがあったので、とりあえず無難におでんから攻めてみることにした。
「おでん、お願いできますか」
「何する〜?」
すぐにママさんはおでんを盛ってくれた。
「そんなん写真撮ってどうするん。それウチんとこのお箸ちゃうで〜」
「ニシキ弁当 大安寺店」の割り箸を使ってるのかと思い、写真を撮ってると
すかさずツッコミを入れてくれたママさん。
さっきは奥の席が羨ましいと言ったが
いやいや、こっちはこっちでママさんを堪能出来るぜ。
絶品おでんは、この店が酒屋が営む立ち呑みだということを忘れさすくらいの旨さで脱帽レベル。
「ねぎま」を注文すると、ママさんは生でも食べれるマグロとネギの串をサッとおでん鍋に湯通し
「これにつけて食べて」と言って、一緒にわさび醤油を出してくれた。
「マグロ刺し おでん出汁湯引き ネギを添えて」
といったところか。
旨すぎるぜ、これ。
15種あるおでんからこれを引き当てた自分を褒めてやりたい。
せっかくなんで隣の常連さんが食べられてた
「ゲソ天 だしかけ」も注文した。
関西風の出汁がよくしゅんだゲソ天・・・
イカ一匹分くらい余裕で食べれそうなくらい旨かったっす。
「ママさん、ここ最高っすねぇ〜」
「せっかく奈良来たんで他の店のハシゴ酒考えてたんですけど、居心地良いんで思わず長居しちゃいそうです〜www♪」
当たり前にテンションが上がる。
そんな超ご機嫌のボクが放った言葉に対して、ママさんからは思わぬ返答が・・・
「18時30分で店終わりやで」
2杯目を注文し、スイッチが入ったところで信じられない事実を知ってしまった。
時刻は18時20分・・・
あと10分しか、ここに居れんってマジか・・・
通りで常連さんたち、皆帰って行ったのか。
入店時にママさんが、すぐにメニューを聞いてくれたのを
気遣いだと思っていたが、どうやらそれだけではなく
単純に店の営業終了時間が近づいてたのもあったからなのだ。
今の俺に出来る事・・・
それは1分1秒たりとも無駄に出来ねぇ!!!
「奈良の人ちゃうでしょ?」
陽気そうなマスターがついに話しかけてくれた。
「マスター!それキンミヤの前掛けじゃないですか!!」
「奈良のライトはウチからキンミヤ買ってんねん」
「え〜!!実はボク、キンミヤが好きすぎて曲作ったり・・・・・・」
いかん
自分の話なんて、今どうだっていい。
もっとこの店のことを聞かなければ!!
「開店何時からなんですか・・・?」
「17時やで」
「え、17時〜18時30分ってことは・・・営業時間1時間30分だけですかっ!?!?」
「そやで〜」
「なんでそんな短いんですか?」
「みんな仕事終わりに”ちょっと”だけ呑みにきてくれるから遅くまでやらんでええねん」
「さっきの人らも毎日来てくれるで」
「最近酒屋が立ち呑みやってる店多いんやろ?なんちゅうんやっけ・・・カクテキ??」
「角打ちやろ。カクテキってそれキムチやんかぁ〜」
ご夫婦さんの面白い会話を聞けている。
気づけば、ボクはマスターとママさんを貸切状態だった。
『仕事おわりにここで1杯呑む』を
生活のルーティーンにさせてしまう。
「もっと呑みましょうや」って
あえて深酒を誘わずに
「じゃあまた明日」って
毎日来たくならせる営業スタイルって勉強になるなぁ。
まだまだ酒場論は深いな。
事実
閉店間際に1杯だけ呑んで、すぐに帰っていったお客さんが何人かいた。
生活の一部させるって、そう簡単なことではないのは分かってます。
「あ!もう18時30分ですね・・・」
まだまだ聞きたいことはあった。
しかし続きはまた今度ということで・・・
カッコいい縦文字赤暖簾と短い営業時間のおかげで
「明日も来たいな」
って素直に思ってる自分がいました。
この街に住んでたら
アルコール中毒より、酒場中毒になりそうだな・・・
永井酒舗(ながいしゅほ)
住所: | 奈良県奈良市南京終町1-923-9 |
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TEL: | 0742-61-5235 |
営業時間: | 17:00~18:30 |
定休日: | 日曜日 |