シカ個体数の増加 – 埼玉県気候変動適応センター

シカ個体数の増加

気候変動による影響が疑われる現象の一つとして、ニホンジカの増加が挙げられます。埼玉県内のニホンジカ捕獲頭数は、1990年度は114頭でしたが、その後急増し、2021年には5000頭を超えました。

全国的にもニホンジカの増加や分布拡大が起きていますが、それらに温暖化が寄与していることが指摘されています。ニホンジカは大型草食ほ乳類で、様々な植物を大量に食べるため、個体数の増加が自然の植生に大きな悪影響を与えています。埼玉県と山梨県の県境の亜高山帯には、シラビソ・オオシラビソの針葉樹林帯が広がっていますが、広い範囲で皮を剥いで食べる被害が発生し、森林衰退も起きています。

針葉樹林の樹皮がシカなどによって食べられている
針葉樹林の樹皮がシカなどによって食べられている

下層植生も広く食害し、スズタケなどササが衰退する一方で、ハシリドコロやトリカブトといった有毒植物のみが残る林も増加しています。

シカの増加で変わったしまった下層植生
ハシリドコロとトリカブト

さらに、ニホンジカの増加とともに、ササなどの植生を好む鳥類のヤブサメやウグイスなどが減少するとの報告もあります。この様に、植物だけではなく、動物への影響も懸念されています。

シカの増加で減少する鳥類

上部へ