さてこれからゴルナーグラート鉄道のフィンデルバッハ駅へと歩いていき、その途中にある鉄橋を渡る赤い列車を、マッターホルンを背景に撮影しようと思います。村のはずれに分かれ道があり、右は直進、左は下りの坂道で川を渡って向かいの谷に行くようです。さあどちらに行けばお目当ての撮影スポットに辿り着けるか、ガイドブックの地図を見てもいまひとつ分かりません。こういう時は神頼み、神託を伺うと「左じゃ」と即答。それでは谷の向こう側に行ってみましょう。「鉄砲水注意」という
ピクトグラム看板に腰が引けながらも、橋を渡って向かいの谷に行くと、そこは森林の間を抜ける気持ちの良いハイキング・コースでした。ときどき川やマッターホルンや山々が木々の間から眺められます。

一時間ほど歩くとフィンデルバッハ駅が見えてきましたが、結局肝心の鉄橋はありませんでした。どうやらさきほどの分岐で右の道を選ぶべきだったようです。恐縮する山ノ神、いいよいいよ、神様だってこういうことはあるさ。駅から列車に乗ってツェルマットに到着。明日はもうジュネーヴに向けて出発するので、ピーク・パスを返却してデポジットをもらいましょう。すると山ノ神、「もう一度登山電車に乗ってゴルナーグラートまで行きましょう」と主張。どうして? 「無料だから」 Quod Erat Demonstrandum. やれやれ。時刻表を見せて、これからゴルナーグラートまで往復するとAさんと約束した時間に間に合わないと説明。彼女も納得したようです。iに行ってパスを返却してデポジットを受け取りホテルに戻ろうとすると、途中にあったお土産屋で鉄橋を渡る列車の絵葉書を売っていました。そうそう、この光景を撮りたかったんだ。でも仕方ないですね、再訪を期しましょう。
本日の二枚です。