即位に因んで、宮廷での暮らしや装いなど、例年よりも出陳の多い今年です。
鳳凰形
花形
礼服御冠残欠 らいふく おんかんむり ざんけつ(冠の残片)
当時、宝庫には聖武天皇、光明皇后、孝謙天皇の都合四箇の冠が納められていて、記録により、
大仏開眼会で着用されたとも分かっているそうです。
ところが、時代下り、鎌倉期の後嵯峨天皇の礼冠を作る際に手本にする為に宝庫から取り出された、
その際に、何と事故で大破!してしまう。
そして、この時に同時に出蔵された諸臣の冠の部材が混じりこんでいる可能性もあるのだとか。
こちらが、その大破前の図。
冕冠 べんかん
聖武天皇が、大仏開眼会で着用されたと考えられています。
珠玉と真珠
冕冠に幾筋も提げられたであろう形をしています。
右の黒い欠片が臣下のものでしょうか、メッシュ状は今も使われる、神職の烏帽子のようでもあります
こうして6層の箱に保存しているのですが、ただ箱の上に置いただけでは動いてしまうので、一つ一つ
本体の形に合わせた窪みを付けて、移動しないよう痛まないよう気配りがされています。
そんな後世の保存への取り組みも含めて、残るには理由があるんだなぁと、そこに関わる数多の方々の
思いを尊く感じる瞬間です。
衲御礼履 のう の ごらいり(儀式用のくつ)31,5cm
きれいな発色の牛皮で、特に左右の別無し。
瑠璃や水晶が嵌め込まれ、冕冠との共通性が見られるところから、大仏開眼会で、聖武天皇が着装と
推測されています。
紺玉帯残欠 こんぎょくのおび ざんけつ(玉飾りの革帯)156cm×3、3cm
紺玉、と言えばラピスラズリですね^^、実物よりもこちらの画像の方が青い色を残していると思います。
奈良時代の官人の制服にこう言った腰帯が含まれていて、漆塗りだったり上位は金銀の拵えなどですが
この石飾りは無く、唐代中国では金銀帯よりも上に位置づけられていることから、規定には無い最高格で
皇族や、高位の貴族のものと見られます。
螺鈿箱 らでんのはこ(紺玉帯の箱)径25,8cm
上記の帯が豪華なものなら、収納にも贅を尽くしていますね。
正倉保存の螺鈿箱の多くは木地に直接螺鈿を入れる場合が多い中、これば漆を施した上への螺鈿細工で、
極めて珍しく技術を尽くした物のようです。
仮山残欠 かざん ざんけつ(山形のかざり)87×45cm
法会の際の荘厳(飾り)具、供養具ではないかと推察されるものの、用途は不明です。
州浜形と言われるこの木造の山水のような上に、金工細工を乗せたものが、こちら。
蓮華残欠 (参考画像)
大仏開眼会の荘厳具で、数年前出陳されています。
今日のジオラマのように、趣向を凝らして鳥獣や人物、植物などをかたどって仏事を華やかに荘厳したと
言います。
後世の、蓬莱飾りなど婚礼や宴席を飾る調度に発展したと見られます。
後もう一回、大仏開眼会など仏事周辺の美しい工芸品を。