お国の宝庫、正倉院に伝わる御物の数々に、今年も会いに行って参りました。
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19110495.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19110495.jpg)
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必ず、音楽にまつわるもの、多くは伎楽の周辺が数点出陳されますが、今年も面白うございました。^^
緋絁鳥兜 ひのあやの とりかぶと(楽舞用のかぶりもの)附:
雑貫 ざっかん
緋の色は茜を染め出したもの、5箇所に雑貫と言われる飾りが付きます。
雅楽のジャンルの一つの舞楽では、この鳥兜を冠って舞う演目が幾つもあります。
例えば、
画像をお借りしました。
振鉾 えんぶ 、舞楽神事の口切に、その場をお祓いする意味合いの演目です。
頭に冠るのが鳥兜、ほかの演目でも共通したこの形を用います。
出陳の兜はと言えば、似てはいても現行のものとは違って、では何の演目かと言うと不詳なのだそうです。
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19255215.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19255215.jpg)
面白いのは、書き損じなどの反古紙をリサイクルして兜の内張りに使われている事で、中には日付が書かれていたりで、期せずして奈良時代当時の大切な資料として生き残りました。
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19263317.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19263317.jpg)
絵は、いたずら書きなのか胡人(西域の異国の人を指す)が描かれていて、こんな形で残るとは書いた本人もまさか!ってね~。^^
もう一つ、鳥兜。
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19280222.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19280222.jpg)
上:こちらの内張りは紙ではなく、麻を芯にしてその上に濃い紫色の綾織りの絹。
所々に葛形(唐草)の裁文(金属を文様の形に裁断したもの)を鋲留めしたもの。
中:復元図<br>
下:
金銅縁輪こんどうの ふちわ(かぶりものの覆輪)<br>
上の縁にめぐらせて張りを持たせ、楽人は中へ頭を入れる形で兜を被る。
こちらも残念ながら、演目は定かではないとか。
雑葛形裁文 ざつ かづらがた さいもん(楽舞用のかぶりもののかざり金具)<br>
美しいレリーフの数々、9つを挙げましたが会場では23にのぼる裁文が展示されました。<br>
これらの2つ、あるいは3つを組み合わせて兜に鋲付けして行き、総数23が上記の<br>
兜ぐるりに付く、それを被って舞う楽人・・、重し。
浅緑目交纐纈絁襖子 あさみどり もっこう こうけち あしぎぬの おうし(絞り染めの上着)
伎楽、いわゆるマスクミュージカルの装束の一つか。
目交纐纈とは、豆絞り染めだそうで、少し拡大頂くと染めの具合が窺えます。
また、今の着物合わせとは反対のいわゆる左前なのは、胡服(中国北部の民族服)由来、日本では8世紀頃
までは一般的だったそうです。
また襖子 おうし は、綿入れなど冬用の衣で、このような単衣ではないので今後の検討が要るとか。
錦紫綾紅臈纈絁間縫裳 にしきむらさきの あやべに ろうけちあしぬいの まぬいの も
(女性用の裳)
きれいなこれは、ずばり巻きスカート!
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19345053.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19345053.jpg)
赤地のろうけつ+紫綾+緑系織色綾の三種を繰り返した継ぎ合わせ(間縫い)。
![’18第70回正倉院展 ②音のまわりで_a0381569_19381040.png](https://pds.exblog.jp/pds/1/201910/31/69/a0381569_19381040.png)
会場では使用例に、高松塚古墳の女性が挙げられていました。
さきほどの単衣と同じく、東大寺伎楽に登場する、呉女など女性役の装束の可能性あり。
磁鼓 じこ(三彩のつづみ)
中国の唐三彩、それをわが国で模した、磁器(磁器と言うには緩い感じですが。)の鼓の胴体部分です。
首から吊るして左右横から叩く形、雅楽では大きさによって一から三までもともと三つの鼓があって、
それからするとこちらは二の鼓相当のようです。
新羅琴 しらぎごと(弦楽器)前兆54,2cm 幅30,6cm<br>
次回は工芸品を。