【南風原】南風原中学校1年3組の生徒らが15日、地元の戦跡について学び、平和ガイドの役割を体験する総合学習を沖縄陸軍病院南風原壕群20号などで実施した。従来は聞き役が多い平和学習で、生徒らは自身が語り手となることに戸惑いながらも「分かりやすく伝えるガイドさんのすごさを感じた」と多くを学んだ様子だった。
同校は、平和学習の意義や学んだ後の取り組みを重視し、今回10年ぶりに戦争遺跡のガイド体験を実施したという。生徒らは座学や説明の練習をした後、町立南風原文化センターの学芸員や南風原平和ガイドの会のメンバーと案内に挑戦した。
沖縄陸軍病院は、1944年の「10・10空襲」後に那覇から南風原国民学校に拠点を移し、隣接する「黄金森」に横穴の壕を構築した。沖縄戦では軍医や看護婦らに加え、看護要員として沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒(ひめゆり学徒)も動員された。
総合学習で生徒らは、真っ暗な壕の内部に残る医薬品や負傷兵が治療を受けた状況、戦況悪化に伴う撤退命令後に重症患者が自決を強要された出来事を説明した。時折、ガイドから「壕の天井や壁に触れないことや、お客さんの健康状態も気に掛けてね」と助言を受けていた。
ガイド体験を終えた宮里舞人さん(13)は「暗い壕の中で起きた悲しい出来事を、戦争を知らない人たちに知ってほしい」と語った。
南風原平和ガイドの中村美智子さん(64)は「戦争体験者だけでなくガイドも減る中で歴史の継承が課題となっている」と説明。感想を述べる生徒らに「今日の出来事を記憶のポケットに入れて、これから出会う人たちにどこかのタイミングで話してね」と期待した。