沖縄県那覇市の那覇市文化財課は末吉公園内で8日までに、末吉村の行事をつかさどるノロの屋敷「ノロ殿内(どぅんち)」跡を発掘した。ノロ殿内跡が発掘されたのは那覇市で初めて。屋敷には、ノロが琉球王国時代から住んでいたとみられる。
市は10日午前10~11時、ノロ殿内跡の現地説明会を発掘場所の末吉公園内で行う。文化財課主任学芸員の吉田健太さんは「当時のノロの生活様式の一端を知ることができる。ぜひ見に来てほしい」と呼び掛けた。
末吉公園の整備に伴い、那覇市は2015年から末吉村跡の発掘調査を進めてきた。遺構は記録保存される予定。
屋敷跡の敷地面積は約500平方メートル。馬屋や「フール」と呼ばれる豚小屋を兼ねた便所、ヒンプンとみられる石積みのほか、石畳など、屋敷内の配置が分かる形で発見された。ノロが住む屋敷にしかない拝所と推測される場所もあった。
末吉村は、現在の那覇市首里末吉町で、1670年ごろに西原間切に移管し、1920年に首里区に編入された。村の拝所は末吉ノロが管轄していたと言われている。遺構自体は近世のものとみられるが、市は「詳しい年代については今後調査を進める」としている。