パチ屋の店員と客との距離感について考える 前編
もう10年も前の話である。
当時の私は主任だったのだが、その時の上司である副店長はスロットの営業と接客教育を担当していた。
そして、その時代はちょうどマルハンやガイア以外のパチンコ法人も「これからの時代は接客だ!」という勢いで、接客を大強化し始めた時代だったのである。
パンチパーマのパチンコ店長
90年代においては、パンチパーマのパチンコ店長に象徴されるように、チンピラ系の店員が多かったのだが、2000年代中盤あたりから徐々に変化が見られ、今ではどこのパチンコ店においても接客が良くて当たり前という状況となっている。
しかしながら、2000年代初頭から2000年代後半という、パチンコ業界の接客が変化を遂げるこの過渡期には様々な事件が起きたものだった。
実際に、この変化について行けなくなって退職した社員やアルバイトを沢山見てきたし、例えばかなり昔の記事の「元違法カジノ店員の話」で登場したFさんなどは、上司から挨拶の声やお辞儀の角度などを注意された時に「やってられるか!」と啖呵を切って、そのまま退職したということがあった(5年以上も働いていたのに)。
まあ、以上のような感じで、業界や会社に変化が起こる時はついて行けなくなる人間が必ず現れてくるものだ。
だから、人間頑固ではいけない。
会社で長く働いていく為には、どんな環境にも適応できるアメーバような人間でなければならない。
そう、20代前半から50代中盤といった様々な年代の女性まで、喜んで鑑賞することのできる私のような人間でなくては、現代社会で行きていくことができないのだ!
パチ屋の店員が客と仲良くし過ぎるのはNGなのか?
しかしながら、いくら接客を向上させるためとはいっても、店員と客の距離感が近いと不快に感じる客も存在する。
それがまさに上記のコメントにあるようなことなのだが、特に店員とよく話をする客がいつも出していると「出る台を教えてるんじゃねえか?」と疑心暗鬼になることも、オカルティックな客であるほどありえることだろう。
だから、パチンコ店の接客における「お客様との距離感」に関しては、いつの時代においても大きなテーマとなっている。
そして、これも10年前の話なのだが、とある終礼にて以下のような質問があった。
「仲のいいお客様がお店を出る時にバイバイって手を振ってくることがあって、それを振り返したらクロロ主任から怒られたことがあったのですが、それってダメなんですか?
笑顔と挨拶を意識してお客様と仲良くするようにいつも言われていたのに、矛盾していると思うのですが…」
私は一瞬焦った。
終礼の席には、教育担当の副店長が同席していたので、私の行動が間違っていたとなると上司へのイメージが悪くなる。
なので、私は間髪入れず言葉を挟んだ。
「鈴木さん。その件に関してなんだけど、お客様に手を振ってしまってはお客様と友達だと思われてしまうよね。
それが良くないんだよ。
パチンコ店の店員として、他のお客様から見られたときに“一部の人と仲良くし過ぎている”と思われてしまうのは得策ではないんだ。
店員から出る台を教えてもらっていると不審に思う人が出てくる危険性があるからね」
今も昔も、入社時の面接などで「店に家族や友達を呼ぶことは禁止」という規則がどこの法人にも存在しているが、まあそれもそういうことである。
家族や友達がやってきて、ホールで仲良く話してたら、他の客からは不審に思われるというわけなのである。
しかしながら、その質問者であるアルバイト店員も腑に落ちない様子だった。
そりゃあ、そうだろう。
あれだけ散々、お客様に好かれる店員になれと言われて、厳しい接客の教育をされてきたのに、
実際に好かれて、手を振ってきた客に手を振り返したら怒られるなんて矛盾している。
まさか、手を振っている客を無視するわけにも行くまいし一体どうすればよいのだろうか?
その終礼の様子を見ていた副店長はそれに答えた。
「一日考えるから、ちょっと待ってね」
働くスタッフが仕事に矛盾を感じることがあってはならない。
その為、今回のデリケートな質問に対しては即答することを避けて翌日返答することにしたのである。
そして、その翌日。
副店長はスタッフにどんな返答をしたのだろうか。