落ちているゴミを率先して拾う人は偉いのか? 後編
昨日の記事の続きです。
昨日の記事を読んでない方は、まずは以下のリンクをクリックして昨日の記事からお読みください。
「そりゃそうだよな!
俺が出勤した時に落ちていたわけだから、ゴミを拾った人が誰一人いなかったわけだよ。
出勤時に、駐車場にあれだけゴミが落ちていて誰も拾わないなんて一体どういうことなんだ!
自分たちの店舗を誰が守っていくんだって!視界に入ったゴミさえも拾えないようだとどうしようもねえだろ!」
以上の店長の発言に対して、私を含めた全社員が反省しているかのようだった。
私の部下の班長や平社員はともかく、上司である副店長も「やっちまったなぁ…」なんて表情をしていたのである。
確かに、店長の言ったことも最もだ。
その発言に対しては、何も言い返すことができなかった。
・・ただ。
何だか腑に落ちないものがあった。
この感情は一体何なのだろうか。
しかし、その店長はとてもいい人で、個人的には仕事をしやすい上司だった。
従って、何だか腑に落ちないものはあったのだが、それに反抗心を抱くことなく、頭を切り替えてその後の業務へと取り掛かったのである。
ただ、あれから何年も経って今こうして思い返してみた時に、その腑に落ちない物が何だったのか?ということが今わかった。
落ちているゴミを率先して拾う人は偉いのか?
出勤時に店舗の敷地内に落ちているゴミに気づいて、それを拾う行為は素晴らしい。
それに関しては非難すべきことは一点もない。
ただし、よくよく考えてみると、私がその日の朝にゴミをスルーした理由としては、ゴミの量がかなり多かったので拾ったら3~4分は掛かってしまうと判断したことによるものだった。
・・であれば、全体朝礼を終えた後に、駐車場を掃除する役割のスタッフが存在しているわけだから、そのスタッフに拾ってもらえばいい。
それまでの間に、客が来店するわけではないので、オープン時にはしっかりと綺麗になっている状態なのである。
別に今拾おうが、朝礼後に拾おうが結果は一緒だ。
逆に、全体朝礼時に「駐車場にいつもよりゴミが沢山落ちているから念入りに掃除しておいてくれ」と指示すればそれで何ら問題はないわけだ。
以上のように、そもそも開店前業務の一環として、駐車場清掃が存在しているので、別に出勤時にわざわざゴミを拾う必要はないのである。
もちろん、片手で拾える程度のゴミなのであれば、ほぼ時間は掛からないので拾うことが多かったが、前述したように3~4分は掛かってしまうほどのゴミが駐車場に散乱していたのだ。
私は、早めに出勤して一日の仕事の段取りをしておかないと落ち着かないタイプの人間だったので、他の社員よりも1時間も早く出勤していた。
そして、無給のその1時間を仕事を円滑に進める為の段取りの時間へと割り当てており、言うなれば非常に貴重な1時間だったのである。
そのような貴重な1時間の一部を、いずれ開店前に担当者が行うゴミ拾いをわざわざ前倒して私がやる必要があるのだろうか?
答えは・・
結果として、客が来店した時に駐車場が綺麗になってればいいわけなんで、何も出勤時にゴミを拾う必要はない。
ましてや、出勤時の3~4分なんて超貴重である。
一刻も早く入店して、ロッカーで制服に着替えて、社員ミーティングまでの時間に各々が準備をするわけなのである。
しかも、出勤時の3~4分は時間外労働なわけなのだ!
それなのに、わざわざその時間帯にゴミを拾うことはあるまい。
今回の店長の発言は、今思うと実に日本人らしい発想だなと思った。
「駐車場に落ちているゴミを拾う」その響きは美しい。
ただ、今考えてみると別に勤務時間がスタートしてからでよくね?
というのが現在の私の結論だった。
おそらく、今回の店長の発言をアメリカ人が聞いたらどう思うのだろうか?
それが中国人なら?
インド人なら?
日本人は人の財布は盗まないが、人の時間は平気で盗む。
byドラッカー
日本人は、特に会社組織においては、合理的に物事を考えることができないんで、今回のような事例は多くの会社で起こっていることと思う。
おそらく、店長の説教を聞いた私以外の7人の社員は、全員腑に落ちて店長の気持ちを汲み取ったと思うが、私は全然腑に落ちなかった。
ただ、特に会社組織ってのは本当にヤバい組織なんで、常にそこでの出来事を疑問視する必要はあると思う。