中小企業の経営者や従業員の皆様、ウェブコンサルタントという言葉は1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、業務コンサルタントのようなカバー領域も明示されておらず、一般的なコンサルタントと同様に「何をしてくれるの?」と思うのが当然です。
なので、その活用場所や方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はWebコンサルタントの実態や選び方、そして正しい活用法についてお話しします。
1. ウェブコンサルタントの実態とは?
まず、「ウェブコンサルティングって何をやるのか?」という疑問を持たれる方が多いと思います。実は、ウェブコンサルタントには明確な定義が全くありません。コンサルタントと名乗るのは自由で、名乗ったもの勝ちの世界と言っても過言ではありません。
中小企業診断士やITストラテジスト、アナリストなどのコンサルに関わる国家資格はありますが、ウェブ業界に特化した物は、IT関連を除くと、信頼性のある資格は存在しません。民間資格はありますが、それがスキルや知識を担保してくれるものではないのが現状です。
これらの問題を避けるためには、企業はウェブコンサルタントを選ぶ際に、肩書きではなく、具体的な実績や提供サービス内容をしっかりと確認することが重要です。
まず皆さんはウェブコンサルタントですとかウェブコンサルティング会社ですと言われたら、何やっているかわからないという前提で接してもらって問題ないです。
しかしなかなか中小・小規模事業者の方々が判断するのは難しいのではないでしょうか。そこで続いて、おさえるべきポイントをまとめて行きます。
2. 資格とスキルセットで抑えるべき点
資格の有無では何も分からない
ウェブ業界では、信頼性のある資格がほとんど存在しません。民間資格はありますが、実際のスキルや知識を保証するものではありません。そのため、資格だけでウェブコンサルタントの能力を判断するのは難しいのが現状です。
リアルなビジネスの世界であれば、中小企業診断士や販売士などの資格を持つコンサルタントがいますが、ウェブコンサルタントにはそうした明確な資格がありません。民間資格は色々とありますが、正直なところ「この資格を持っているから安心だな」というものは無いのが現状です。
Webコンサル=ジェネラリスト的な存在では無いケースが多い
「ウェブ関連のエキスパートがウェブコンサルタントを名乗っている」みたいな皆さんのイメージっていうのは多分、あんまり実態に沿ってない可能性が高いです。
私もそんなにたくさんの同業者と会ったわけではないですが、圧倒的に多いのは特定分野をやってきて、そこから会社的になのか個人的になのかはさておき、2本目3本目の柱を立てていく。その結果Webコンサルタントと名乗るというケースが多いということです。
Point:出自・背景による得意分野の違いを抑える
ウェブコンサルタントと一口に言っても、その背景や出自によって得意分野が大きく異なります。多くの場合、もともと別の事業を行っていて、そこにウェブコンサルティング事業を追加したというケースが多いです。
例えば、広告代理店であれば広告運用が得意であり、SEO会社であればSEO対策、制作会社であればウェブサイトの制作が得意です。
しかし、それらの単体のサービスが厳しくなってきた時に、「ウェブコンサルティング」として総合的なサービスを提供するようになったパターンが多いです。
要するに単体の広告だったら広告屋さんだったら広告代理店の仕事、SEO屋さんだったらSEOのお仕事、制作会社だったら制作会社のお仕事というのが単体で厳しくなってきたという時に、何か乗っけなきゃいけないよねということでウェブコンサルティングを乗っけているパターンがはっきり言ってほとんどです。
また、受けられる仕事の幅を広げる、より広範な支援を行うために広げていくパターンもあります。しかしどちらにしても、最初の軸がどこにあるかがとても重要なんです。
以下はあくまで典型例ですが、イメージとしてご参考になればと思います。
広告代理店、SEO会社、制作会社、コンサル…異なる得意分野
その出自によって、提供されるサービスや得意分野が異なります。
広告代理店出身のウェブコンサルタントは広告運用に強く、SEO会社出身であれば検索エンジン対策に詳しいです。制作会社出身であれば、ウェブサイトのデザインや構築に強みがあります。
私自身がセカンドオピニオンとか、お客さまが受けた営業に対してのMTGに参加するなどをやるのでわかるんですけれども、提案内容は結構出自を引きずってます。
私はWebコンサルタントに求められる物を考えると、ディレクターとかジェネラリスト系の人がなった方が私はいいと思います。しかし現実にはスペシャリスト系の人が多いですね。
あくまで一例ですが
A:広告代理店が出自のWebコンサルサービス
広告代理店出身のコンサルタントは、リスティング広告やディスプレイ広告など、広告運用に強いです。そのため、企業のウェブサイトの問題点を分析する際も、広告視点からの分析を基礎として、広告出稿前提の提案が強くなる可能性があります。
例えば、ウェブサイトへのアクセス数が少ないという問題に対して、SEO対策やコンテンツ改善ではなく、広告予算を増やしてアクセス数を増やすことを提案してくるかもしれません。もしあなたが、サイトのコンテンツを積み重ねて自然検索経由のアクセスを増やしたいという方向性なら、合わないかもしれません。
B:SEO会社が出自のWebコンサルサービス
SEO会社出身のコンサルタントは、検索エンジン対策(SEO)に強いはずです。そのため、ウェブサイトの改善提案も、SEOに重点が置かれ、キーワード選定や被リンク獲得など、検索エンジン経由のアクセスを改善する施策が中心となる可能性があります。
※このあたりは古い意識のテクニカルSEO会社と、今の時流に合わせたコンテンツ中心のSEO会社でも異なるでしょう。
そのため、例えば、ウェブサイトのデザインやUIに問題があり、ユーザーにとって使いづらいという問題があっても、SEOには直接関係ないとして、改善を後回しにする可能性があります。また、広告を使った方が効率が良い可能性があっても、提案が無い可能性もあります。
C:制作会社が出自のWebコンサルサービス
制作会社出身のコンサルタントは、ウェブサイトのデザインや構築をベースとした施策の引き出しが多い可能性が高いです。
そのため、企業の要望をヒアリングする際も、デザインや機能面に関する質問が多くなり、ウェブサイトの見た目を刷新することに重点を置いた提案が強くなる可能性があります。
従って、例えば、ウェブサイトのコンテンツが充実しておらず、ユーザーにとって有益な情報が少ないという問題があっても、コンテンツの改善にはあまり力を入れない可能性があります。また、そもそも受け皿としてのWebサイトの外側、その前の露出や集客についてはノウハウや経験が無いパターンもあります。
ちなみに時々出自云々を越えたスーパープレイヤーがいます。どこでもしっかり成果を出せる人です。こういう人は、私の知っている範囲ではだいたい野生のフリーランスです。常に現場にいる人です。
会社の中にいると管理職になっちゃうんで、現場から離れていくんですよね。
現場から離れるとウェブ業界きついんですね。そういう意味では超絶プレイヤーを探すなら私はフリーランスの方が当たり率高いと思っています。野生です、野生です。
3.あなたに合ったウェブコンサルタントの選び方
出自と相性を見極めるポイント
というように、ウェブコンサルタントを選ぶ際には、その人や会社の出自や得意分野を確認することが重要です。自分たちが求めるサポート内容に対して、そのコンサルタントが適切かどうかを見極めましょう。
例えば、SEOだけでなく幅広くサポートしてほしい場合は、SEO専門の会社ではなく、ジェネラリスト的な視点を持つコンサルタントを選ぶと良いでしょう。
専門領域への偏りとそのリスク
特定の技術や領域に特化したコンサルタントは、自分の得意分野に話を持っていきがちです。そのため、本来必要なサポートが受けられないリスクがあります。自分たちのニーズに合った、バランスの取れたサポートを提供してくれるかを確認しましょう。
Webだけに偏っているとローカルビジネスはきつい
さらに言えばWebに閉じてるのも良くないんです。マーケティングの中にWebがあるだけで、本来はマーケティング全体に知見があるべきです。少なくとも、DMやチラシの知識は欲しいですよね。地域商圏でローカルビジネスやっている方なら特にそうでしょう。
私も幸い紙のデザイナーをやっていた時代に、ダイレクトマーケティングとか、あとそもそもの紙媒体の特性とかをやってきたので話ができるんですけど、ウェブから入った方はそこの辺は分からないケースが多いです。新聞取ったことが無い人もいますから。年代によっては。
また、いわゆる普通のマーケティングに関しての知識とか、例えば会社の仕組みや力学への知見も大事です。流通がどうだとか、販売ってこういう流れになっているんだという知識はあった方が良いですよね。中小企業診断士とまでは言わなくても。実現するためには他の部署との調整も必要になるケースがありますので。
4. 重要なポイント:依存から自立へ、正しいコンサル活用法
卒業を前提とした関係性を築こう
コンサルタントとの関係は、いつまでも依存するものではありません。最終的には自立して自分たちで運用できるようになることが理想です。コンサルタントはそのためのサポート役であり、卒業を前提とした関係性を築くことが重要です。
依存せず自立を目指すことが大事です
コンサルタントに全てを任せてしまうと、自分たちのスキルや知識が向上しません。自らも学び、考える姿勢を持つことで、会社全体の力が強くなります。コンサルタントはそのプロセスを支援してくれる存在であるべきです。
残念ながらやはり、契約を長く続けたいので、いろんなことを言って「次これやらなければいけません、あれもやってみましょう」と、次々と不要な物まで持ってきて、いざやると決まったら全部代行作業として丸投げを求められたりするケースがあります。
丸投げ誘導は本当に良くなくて。皆さんが本来やっていたらスキルアップになっていたであろうことをやらせないのは機会損失だと考えて下さい。
なぜそうやって丸投げさせて、皆さんにスキルをつけさせないかというと、その方が依存させることができるからです。
本来「序破離」であるべきです。その場が終わったら立つ鳥跡を濁さず去っていくのが私は理想的だと思います。それによって会社の原動力っていうのはどんどん強くなっていくわけですから。
5. まとめ:ウェブコンサルタントと共に成長するために
ウェブコンサルタントを選ぶ際には、その肩書きに惑わされず、具体的に何をしてくれるのかをしっかりと確認しましょう。自分たちのビジョンや性格に合ったコンサルタントを選ぶことで、良いパートナーシップを築くことができます。
相性も大きいです。やっぱり何人にも何人にも当たった方がいいと思います。
そこでなんとなく話を合わせてくれるわけじゃなくて、一緒にワクワクしてくれるような。
この人なら一緒に歩いていけそうだなと思える。この人と一緒だったら、自分の飛んでいきたいところへの後押しをしてくれそうだなというような人を選ぶイメージが良いです。
コンサルタント側の能力も、お客さんによって引き出される部分は大きいです。
遠慮せずに質問し、自分たちが主役であることを忘れないでください。そうすることで、ウェブコンサルタントと共に成長し、ビジネスを発展させることができるのではないでしょうか。
余談:なぜか「Webコンサルタント」を名乗りたい人は多い
これは余談ですが…。基本的に昔はウェブコンサルティングとかウェブコンサルタントを名乗る所って少なかったんです。だいたい10-15年前くらいの話ですが。
私が独立をした10年少々前頃に少しづつ現れてきました。
SEO的に難しくない、そこまで面倒ではない状態だったので、うちはそのキーワードを主軸に据えて、サービス名としては「ラウンドナップWebコンサルティング」ということで始めたんです。氏そんな状況なので、確か何度か「Webコンサルティング」で1位になっていましたね当時。
で、当時はウェブコンサルティングとかウェブコンサルタントで検索をすると、ちゃんとウェブコンサルティング会社のホームページが出てきて、いろんな会社さんと取り合いをしているような感じで、結構1ページ目にずっといたんですね、数年間。
しかし今は違います。”ウェブコンサルタントになるには”とか、”ウェブコンサルティング必要資格”とかですね、ウェブコンサルタントを目指している人が入力する検索クエリになっているんです。
なぜかわからないですけれども、なりたい人が、探している人より多いんです。実際は地味な努力の積み重ねなのですが…キラキラして見えるのかもしれません。そんな業界だということをおさえて頂けますと幸いです。
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中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。→プロフィール詳細はこちらから