ロココの辛口映画レビューカフェ 白石晃士
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不能犯 (2018)  541本目

愚かだね・・・人間は 不能犯

出演:
宇相吹正役 松坂桃李
多田友子役 沢尻エリカ
百々瀬麻雄役 新田真剣佑
川端タケル役 間宮祥太朗
赤井芳樹役 テット・ワダ

監督:
白石晃士
お勧め度★★★☆☆

「不能犯」という言葉の意味は刑法学上の概念の一つで、行為者が犯罪の実現を意図して実行に着手したが、その行為からは結果の発生は到底不可能な場合のことをいうらしい。
例として、呪詛などで人を殺そうとした場合、意図はしているけれど、呪詛で実際に人は殺せないという事実から、たとえ誰かがなくなったとしても犯罪として立証できない場合をいう。

ふーん、知らなかった!

そしてそれを題材にした映画。

「電話ボックスの男」と噂される男がいる。
殺して欲しい相手の情報と理由を書いた手紙をある電話ボックスに貼ると、本当に殺してくれるらしい。
ただ、依頼人の殺意が純粋でないと、依頼をした人も死に至る。
そんな噂の中、警察官の多田友子がある事件に遭遇する。

この映画は宮月新原作、神崎裕也作画による人気漫画「不能犯」の映画化です。

アニメ化されず映画化されるというパターン。
でもこういう、ストーリーってどうしてもワンパターンになっちゃうんだよね。(「イキガミ」とかがそうだったんだけど)
誰かを殺したいほど憎む→依頼する→相手に関して何か勘違いしていた→自分も地獄に落ちる、みたいな。
だから1話完結のドラマとかの方が正直楽しめたのかも。

と、思ったら、別にドラマがあるそうです。
でも、別にドラマを見ていなくても全然問題ないです。
もしかしたら、ドラマではもっと宇相吹について語られたりするのかもしれませんが、別に設定だけわかっていれば(映画でも説明があるので大丈夫だけど)、迷子になることはなかったな。

まさに「人を呪わば穴二つ」

この言葉は陰陽師に由来するというから、まさにそういうことなんだろう。
これを知った時、やっぱり人を憎む気持ちって恐ろしいなぁと思った。
被害者だったはずの人間がいつの間にか加害者になってしまう。

ただ、映画では結構意外な展開になって、関係ないエピソードが実は繋がってた!みたいな流れになるので、その辺りはよく考えられたストーリーだなぁと思った。

宇相吹が決め台詞の「愚かだね・・・人間は」を言う度に、

お前もだろ!

ってツッコミながら見ました。
宇相吹の正体が全然わからないので、そういう意味もあるのかもですが。

漫画では警察官の役は多田友樹という男性で、後輩刑事が百々瀬麻子という女性なのに対し、映画では沢尻エリカ演じる多田友子がメインの刑事で、後輩が新田真剣佑が演じる百々瀬麻雄。
(しかし麻子に対して麻雄って・・・
その辺り、どうしても沢尻エリカを主人公にしたかったんだろうなぁ・・・。
いや、そうではなく、宇相吹正が男だから、もう一人のメインは女性だったってことかね?

それはいいんだけれどもう一人登場する美人刑事の夜目美冬を矢田亜希子が演じていて、ちょっと沢尻エリカと見た目がかぶっているので、もったいないなぁと思った。
こういうメインのキャラは一人でいいよね~。
まあ、夜目も重要な登場人物なので、しょうがないか。
でももう少しタイプの違う美人をキャスティングしてほしかったわ。

その他にも名脇役達が揃っていて、なかなか見ごたえがあるのですが、多田刑事の上司がなんか気になった。
赤井芳樹役のテット・ワダ。
なんとなくこの人だけ回りと雰囲気ちがうなぁ。
セリフのリズムやトーンが違うというか・・・。
外国人なのかと思ったら、国際的に活躍する日本人だそうで。
ある意味目立ってたわ

さて、後輩刑事の百瀬がイチオシのラーメン屋が映画に登場します。
本場っぽい感じで雰囲気イイなぁと思っていたら、本当にあった!
日暮里にある「京の華」。
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(食べログより)
ラーメンより焼小籠包が気になる

この映画、面白かった!と共感する人がいたら、教えてくださいな。
サスペンスホラー的な感じですが、どちらかというと松坂桃李の気味悪さと沢尻エリカの美しさを堪能する映画です。

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鬼談百景 (2016) 492本目

百じゃないよ、十だよ 鬼談百景

出演:
岡山天音
森崎ウィン

監督:
中村義洋、白石晃士、安里麻里、岩澤宏樹、大畑創、内藤瑛亮
お勧め度★★★☆☆

小野不由美原作のこの小説。
以前「残穢 (2016)」でも語りましたが、私、ティーンの頃、小野不由美が大好きだったんだよねー
本人は大変だったんだろうけれど、あの頃の少女小説をまた書いて欲しいなぁ。
主人公がちょっと生意気な一人称で語るポップなホラー。
そんな感じとは全然雰囲気の違う本作です

小説家である「私」の元に届いた100の話の中から10話を紹介。
それぞれタイトルは「追い越し」、「影男」、「尾けてくる」、「どこの子」、「空きチャンネル」、「一緒に見ていた」、「赤い女」、「続きをしよう」、「どろぼう」、「密閉」。

夏目漱石の「夢十夜」の「こんな夢を見た」みたいな感じで「こんな手紙が来た」から始まる10の物語。
いわゆる「世にも奇妙な・・・」の感じです。
でも、あそこまで教訓めいていたり、エンターテイメント性があるわけではなく、地味にジワジワ怖い系が多いかな?
特にどの話もオチが難しいなぁと思った。

え?それで?

って感じのお話が多く、結局何だったんだろうと考え出すとジワジワくる。
この映画は2016年1月23日に1日限りで上映されたそうで。
原作は99話になっていて、100話目が「残穢 (2016)」なんだそうです。


感想としては、

赤い女が一番怖かった!

ビジュアル的に。
2回以上みるとちょっと笑えてきちゃうのだけど、最初はただただ恐ろしい!
オチもなかなか好きです。

短編ホラーで残念なのは、細かい説明がない事、そしてタイトルでネタバレしちゃうことがある、っていうこと。
かといって全然関係ないタイトルをつけるわけにもいかないし。
あまりオチを予想しながら見ずに、ワクワク恐怖を味わってください。
演出は結構ありがちなスローモーションからなにやら意味深な描写も多く、それでもそれ以上語られないのが残念。
そして何よりうれしいことは、「残穢 (2016)」の主人公の「私」の元に来た手紙ということで、

ナレーションはちゃんと竹内結子がやっている!

これがとにかく嬉しい!
そして彼女の棒読み調子のナレーションがなかなかいい味出しています。

かといって、この話と残穢に直接的な関係があるかというと、全然ないので、どちらを先に見ても大丈夫です。

この映画、面白かった!と共感する人がいたら、教えてくださいな。
王道の驚かしももちろんあるけれど、どちらかというとライトなホラーです。

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ミュージアム 序章 (2016) 449本目

小栗旬も妻夫木聡も出ていません!あしからず!ミュージアム 序章

出演:
九堂仁役 三浦誠己
九堂伊織役 川島鈴遥

監督:
白石晃士
お勧め度★☆☆☆☆

この作品を「映画」と位置付けていいのかどうか悩みましたが
本編への「序章」ということで、紹介させていただきます!

ジャーナリストの九堂仁。
彼は2013年に起こった「幼女樹脂詰め殺人事件」の真相を追っていた。
そんな彼に「事件の秘密を教える」というメモが。
自宅に戻ると娘が行方不明に。
カエル男の「作品」の一部になっていく九堂。
彼は娘を救えるか!?

久しぶりに見ました、こんな映画。

久しぶりにクソつまらなかった!

たぶん、単体としては「ソウ」とかみたいなバイオレンスなサスペンスとして成り立つのだと思うのだけれど、これはあくまで「ミュージアム」の序章。
本編の「ミュージアム(2016)」がすこぶる良かったので、どうしても比べてしまう・・・。

まず序章、というから、映画本編に登場する「幼女樹脂詰め殺人事件」についての映画かと思ったら、それの後の話でした。
ここで「あ、そうなの?」と
じゃあ、序章っていったい何?かというと、映画本編の殺人事件を起こす前のカエル男が行った「実験的作品」ということのようです。
でも、そこで思うのが、

カエル男がちがーう!

もちろん、妻夫木聡ではありません。
せめて、そこは同じにして欲しかった。
いくら被り物してるからってさー!
話し方とか違うし。
それだけでなく、なんとなく殺人のやり方が本編とは一貫性がない。
本編で行っていた手の込んだ「作品」とは到底思えない、下劣なカエル男の行動に、がっかりしっぱなし。
結末とか、本当に面白くなさ過ぎてゾッとしました
ターゲットも理由があったりなかったりだし。
それもそのはず、漫画原作にはないストーリーだそうです。
なんとなく、ただただ残酷にしたかっただけのような気がする。

監督の白石晃士は「愛する恋人や家族を思い浮かべながら、自分だったらどうするだろうと見ていただくと、よりハラハラして楽しめると思います」と言っていますが、

正直怒りしか感じなかった。

もしそれが目的なら達成していますけど。
どのルートをいっても詰む、クソゲーです

心配なのは、この序章を先に見た人が、本編もこんなつまらない映画だと思い込んで観ないというケースと、本編を先に見た私のような人が序章を見てがっかりするパターン。
結局、これ、

見ない方がよかった

主演の三浦誠己はものすごい数の映画に出演しているのだけれど、すみません、全然顔が覚えられない。
だから、ある意味リアルです。

この映画、面白かった!という人がいたら、どのあたりが良かったか、教えてくださいな。
最近なんだかんだと、ある程度面白い映画に出会えていたので、久し振りにガツーンとやられました
こちら、最初はスピンオフ作品として4話構成で配信されていたとか。
これ、ぶつ切りに1話づつ見るって、かなり辛い・・・

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