……………なんじゃあ、こりゃ。
壇(千原ジュニア)が真野(錦戸亮)の兄に想いを寄せていた事。
武蔵野事件を起こした発端は姉の発言からだった事。
実行犯の早川(萩原聖人)自身には何の動機もなかった事。
犯人は予想通りだったものの、最終回に来てポンポン出される新事実には
びっくり仰天どころじゃ済まなかった。
…でも、「なんじゃあ、こりゃ」とツッコミたいのはそこじゃない。
えーと、はっきり言うならば、
90分拡大が故に、締まりの悪い構成になってしまっていたのが残念でした。
散々引っ張ってきた真相は前半部分であっさりと片付けられ、
残り30分程度で真野と壇の対峙を延々と見せる。
結局大して活躍出来なかった虎丸(船越英一郎)の暑苦しい電話のシーンも
尺を稼いだ感が満載なんですが、後半の二人のシーンを長く描くより
もっと描くべき事柄があったはずです。
何の反撃も出来ず、ただただ主人公が泣いて終わる物語ってなんなんでしょう。
科捜研らしい事は一切しておらず、唯一出来たのは救急車を呼ぶ事だけ。
壇に精神的に追い詰められ、結局敵討ちも出来ないまま完結。
事件の原因が姉の発言からあったのにはショックも受けず、
壇がまだ逮捕もされていないのに、「もう前に進むんだ」みたいな希望の兆しが
感じられるような表情をされても全然スッキリしませんよ。
本当に殺人教唆があったのかどうか証拠を見つけて、
壇を逮捕するまでをちゃんと描く事こそが、
真野の笑顔と科捜研ドラマとしての形には相応しいと思いませんか。
それらを描いた上で虎丸とのやり取りに繋げて、あの職場に戻るシーンは最後に持ってって
真野がドアを開け始めた所で終了…に変えた方が、
良い感じに余韻に浸れたかもしれないのに…。
サイコパスが目を覚ます「続編匂わせエンド」とか、胸糞悪い。いらんです。
脂っこい物食べた後の口の中は、
お茶飲んで綺麗にしてから食事を終えたかったのと一緒です。←なんちゅう例え
あ。千原ジュニアさんに関しては、多少イントネーションが気になったものの、
見事にラスボスっぷりを発揮されてたと思います。
(ちなみに、少年時代の壇役の子も、口や骨格がジュニアさんに似ていたのが良かった。)
目や声の怒鳴りで訴えかける迫力の演技は、「気持ち悪さ」「不気味さ」「異様さ」
そのものでした。勿論、主人公を怯えさせるのには適役だったという事で。
それなりに演技で魅せられる方なのですから、
今までの回で変に小出しにせずに7話辺りから登場させて、
真野の「最大の敵」として真正面から対比させていった方が
面白みが増したんじゃないでしょうか。
もうね、壇の件も含めて、縦軸と1話完結部分の同時進行のさせ方、感動のさせ方が
本当に下手くそだったとしか言いようがありません。
恋模様を最後でまともに描かないのなら、
最初からあからさまな描写をしない方が良かったんじゃないですかね?
事件の切り口、結末のエグさは割と頑張っていたように見えただけに、残念なドラマでした。
火9の方がやっぱり、分かりやすい台詞とか劇伴とかが改善されたんだろうなぁ…(汗)
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