「正義は複雑」と日高(草刈民代)と言っていたけれど、
正義はストレートに"正義"である事が示された回。
11年前の真相に迫る件は、通常だったら最終回まで引っ張りそうな内容ですし、
そこまでの展開で、上層部の闇を小出しに見せていく形で
視聴者が憎い感情を持つよう煽ったり、法廷内でラスボスを悪人に仕立て上げて
懲らしめたりする事も出来そうなものですが、
勧善懲悪あるあるの暗くて重いエピソードの積み重ねじゃなくても
痛快劇は描けるんだなぁ…という新たな発見がありました。
ここまで、みちお(竹野内豊)の自由奔放さにどんなに呆れていたとしても、
時には調査を禁ずるよう上から命じられたとしても、
それでも互いで足りない部分を補い合いながら、正しい事は正しくあるべきだと考えて
目の前の仕事に全力を尽くしていくイチケイメンバーの姿が描かれてきました。
天秤を持った像をバックに、みちおや駒沢(小日向文世)から
11年前の案件について問いかけるシーンもあったし。
もちろん、日高を慕っている坂間(黒木華)との関係性も。
これら全ての要素は、今回のエピソードに集約されていて…
自分はどうあるべきなのか?と葛藤を見せる日高を表現するための伏線になっていたのですね。
正義をもって職務を全うし続けるメンバーの仕事ぶりを見てきて、
日高も本当は彼らに近い想いを抱えていたら良いな…
いやでも、初心を忘れて、やっぱり上からの権力に呑まれてしまったのかな…などと、
最終的にどんな答えを出すのか緊張しながら見守っていた分、
間違いは間違いだと潔く認める彼女の姿には気持ちの良さが感じられました。
上に行けば行くほど、認められない人も多いですから。
そして、個人的にみちおらしいなぁ…と思えたのが、
終盤で日高に白いカラスの置物をあげるシーン。
確か初回で「何にも染まらないから法服は黒い」「イチケイのカラスになれよ」と
言っていたのを思い出しました。
みちおも弁護士だった頃は、検証をやりたくても裁判員の判断でやらせてもらえず、
合議制による多数決で自分の意見を聞いてもらえなかった過去があった。
日高も同じで、モヤモヤとした部分が頭の片隅に残っていても、
周りからの「君は間違ってない」という言葉に流され、今に至った。
弁護士から裁判員になったみちおと、高裁の判事を辞職した日高。
それは自分らしい正義感を貫き通せた証=黒いカラスに近づけた瞬間でもあり、
その気持ちをどうか忘れないで…という意味合いで、
応援のつもりで"何色にも染まってしまっていた"頃の置物を渡してきたんでしょうね。
坂間が日高の事を尊敬しているのを普段から知っているからか、
法廷で"あの発言"をした事に対しても、今どんな心境なのかも
あえて聞かずにそっとしておく所も、みちおなりの優しさを感じさせます。
どこが好きなのか率直に聞いて坂間の心に寄り添おうとする青山(板谷由夏)も、また優しい。
「心の中で泣いている入間くんの分まで泣いてるんですよ」
という駒沢の台詞もありましたけど、
多分、坂間も、日高が正しい人だと知れて、安堵の気持ちで泣けてしまったはず。
良かったねぇ…。
いろんな人々の持つ正義感の根底にある、優しさに触れるお話でした。
面白かったです。
そして、今回で決着した事で、この先の展開はどうするのかが全く読めなくなりました。
高裁の誰が指示したのか…とか、何となく深い所までは追究しなさそうですしね。
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