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「粕原がそん時、絶対に助けたいって本当にそう思ったんならさ、言葉にすりゃ良いんだよ。
それは誰にも止められやしないんだ。」
大先輩の堂島(佐藤浩市)からこの言葉が出たのが意外でした。
本作はそのジャンルではないものの、医療ドラマを見ていると、
「絶対」「大丈夫」といった"無事"が確約されているかのような言葉を発する登場人物って、
大体、その人物の発言が責められる展開や
患者の命が助からなかった苦い展開が待ち受けているイメージがあるんですよね。
だから、ある程度視聴経験を重ねていくと、
後でこうなるだろうな…っていうのが何となく想像出来るから、
つい条件反射で、あ〜命を救う立場の人が「絶対」とか言っちゃダメ!と
ツッコんでしまうんですけど…
雪(清野菜名)の、当時勇気をもらえたエピソードにも共感は出来るし、
命を救う立場は立場でも、例えば、患者の命に直接触れる医者や看護師が発したら
場合によっては無責任だと問い詰められるのかもしれないけれども、
通報者のように、頼りになる人の手を借りたい状態で、
どうすれば良いのか分からず心細さを感じている人にかける言葉だったら
支えになるのかもしれないなと。
堂島が「絶対助ける」発言を肯定した意味について、終盤のシーンまで悶々と考えていて、
頭の奥底でずっと離れずにいたのです。
かつて「大丈夫!絶対助けるから!」と声をかけた患者の娘を悲しませてしまった事が
トラウマになっていた予呉(一ノ瀬颯)が、
1つの出来事を機に、電話越しに「絶対助けますから!」と大声で伝える。
これには思わず泣かされました。
前回もそうだったけれど、自身の心の中でつっかえているもの、
抑えようとしている想いを、ある人との関わりを経て
解放して殻を破っていく展開には感情がやられやすくてですね…。
そのある人というのが、堂島でも主人公の雪でもなく、
前回で堂島の言葉を受けて「助けて」を叫べてから
少し朗らかになった紗良(見上愛)なのも良くて、
どう描けば視聴者を胸熱な気持ちにさせられるのかが
きちんと押さえられた脚本だとも思わされました。
1,2,1,2…と数字を繰り返しているだけなのに、冷静さかつ緊迫感もまとわせている
一ノ瀬さんの声の演技も凄くて、以前から認知してはいたものの、
真剣な眼差しも含めて、こんなに芯の強い演技をされる方なんだという驚きもありましたし。
演出面に関しては、今回は全体的に胸から上を映すカメラワークが多い中で、
最大の見せ場であろう予呉の電話のシーンは
彼の顔どアップのカメラワークをメインにする事で、画面全体に圧迫感が増し、
それがまた、電話の向こうにいるお父さんがどうか助かって欲しいという
ドキドキした気持ちに拍車をかけていました。
一対一での通話を大切に魅せている。大切に作ろうとしている。
本作のチームのこだわりが詰まった、ますます今後に信頼を寄せたくなる回でした。
ただ、前回今回でここまで満足度高いとなると…今度は違う疑問が発生するんですよね。
雪ってそう言えば、耳が良い設定なんじゃなかったっけ?と。
あ、補足しておくと、もっと彼女の特殊能力を強調して描け!って訳ではないです(苦笑)
今回ではなぜか記憶力が良い事にされていて、当初の設定が薄れかけている辺り…
意地悪ですが、施設内で通報に対応している職業だから、絵面的に地味になりそうなのを恐れて
最初は保険をかけてしまったのかな?と思わざるを得ないんですね。
現場をしっかり描くだけで"ドラマ"として十分成立するんだから、視聴者を信頼して
最初から群像劇で魅せれば、もう少し脱落者も減ったかもしれないのに。
ちょっともどかしいです。
でも、次回予告では…耳をすましているシーンがあったので、また復活するみたい?
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