旅屋おかえり 原田マハ [作家は行]
売れないタレント、おかえりこと丘えりか。
「ちょびっ旅」という番組で、
全国各地を、紹介してきた。
ある時、スポンサーを言い間違えたことで、
番組は打ち切りになってしまった。
そんな中、番組を楽しみに見ていたという婦人から連絡が。
娘の為に、旅をしてきてもらえませんか?
旅先で出会う人たちは、
いつも、とても温かく、
景色に溶け込むような心地よさを与えてくれる。
時には、傷ついた心を癒し、
時には、元気パワーを与え、
時には、自分自身と向き合う場をくれる。
おかえりの目を通して語られる旅は、
見る者に感動を与える。
親子のわだかまりも、
心に響く風景と言葉で癒され、
いつしか打ち解けていければ・・・。
ある時、番組のスポンサーだった社長が、
個人的な旅を、依頼してきた。
番組復活のチャンスに、
意気込んでいたが、
その旅には、踏み込めない事情があった。
スポンサー社長の遠縁の女性とお墓参りに行くこと。
遠縁の女性は、
プロダクション事務所の社長の元妻だった。
社長がスカウトした元歌手。
愛娘を亡くし、離婚した。
決して許されない過去として、
封印していた事実が再び・・・。
ふかえりは、遠縁の女性に会いに行くも、
激しく拒否される。
しかし・・・・。
心落ち着く、懐かしい風景。
愛娘の手に乗った小さな紅葉。
眠る地に導かれるように、足が向く。
頑なだった気持ちが緩む。
明るい道が、開けていく。
前向きな気持ちで、
ふかえりは、また旅に出る。
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