宝剣ルクナバードを抜くことができなかったアルスラーンは言う。
「私には王家の血が流れていないことが確定した。地上に正義を布くことはできなくても、少しでもましな政事が行えればと思っている。皆、力を貸してもらえるか」。
ダリューン「生命に代えましても」。
ナルサス「非才なる身の全力をあげて」。
ギーヴ「俺でよければ俺なりに」。
ファランギース「ミスラ神の御名のもとに」。
エラム「お供させていただきます」。
アルフリード「ナルサスたちと一緒に」。
ジャスワント「心から」。
アルスラーンたちの絶頂期とも言えるこの場面が、21巻の見せ場だろう。
しかし、蛇王ザッハークとの死闘後に、生き残る者はわずかに3名のみ。
また、生き残った者が幸福であるとは限らない。
それでも、人生で上記のような場面に立ち会えたのなら、その生涯は報われたと言えるのではなかろうか。
王妃タハミーネは行方不明の娘を憂いているが、奇しくも、生き残った者の子孫の中から、宝剣ルクナバードを抜く者が現れるのだった。