松本清張原作作品6作を纏めた豪華なDVD-BOX、勿論最大の目玉はタイトルになっている「帝銀事件」だ。あまりにも有名かつ謎の多い事件なので、付属の冊子でも言及されているが、熊井啓監督の「帝銀事件・死刑囚」をはじめとして、何度も映像化されている。
昭和時代は反権力、反体制を鮮明にした映画・ドラマが結構作られていたと思うが(左翼系の山本薩夫監督や今井正監督等多数の映画人がいた)、現在はメッセージ性を強く打ち出すとスポンサーが敬遠するのだろう、漫画原作の娯楽作品が殆どだ。近年では珍しく「新聞記者」(藤井道人監督)、「福田村事件」が硬派の社会派映画(ドラマ)だが、両作ともインディペンデント映画であり、反日映画とネットでは叩かれている。
「声」も昔から何度も映画化、ドラマ化されているが、ヒロイン(音無)が聞いた声の相手が、自分の婚約者(秋野)の仕事仲間というのは、あまりにも偶然過ぎ(忘れてしまったが原作もこうだったか)。秋野の行状(業者からの麻雀接待、マンションの頭金を出してもらう)は、公務員なので明らかに汚職、秋野は頭が良さそうに見えず、周りから見てもバレバレになっているのではないかと思う。
「犯罪広告」、「紐」はまずまずの出来、「種族同盟」は松竹で映画化(「黒の奔流」)されているが、両作ともあまり面白くない。ヒロインに翻弄される弁護士が愚かすぎる。