私も先天性の障害を持つ者で、病名は異なるが、主人公と重なる箇所がいくつもあった。
何十年と抱いてきた、他人に説明など到底できない「悔しさ」を、まるで音楽のようにリズミカルに、踊るように爽快な「主人公の言葉」によって伝えられ、読みながら、複雑な心が整理されていく気がした。
ユーモアと皮肉に溢れた言葉の裏に読み取れる、悔しさと切望。説得力のある言葉と知性、裏付けのある出来事などにも触れられていて、そのすべてに圧倒された。
(私自身も)現実社会では語れない心を告白をしてくれていた。
半日で読み終えたが、次の日もその次の日も…心に刻まれた一文一文が鮮やかに蘇る。
当事者の1人としては、どこか"癒された"作品。
生涯心に残る作品と出会えたことに、心からの敬意と感謝を。