一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになるという、ぎりぎり一万石の小大名・下総高岡藩に婿入りした尾張徳川家一門の藩主・井上(竹腰)正紀、妻・京、義父(先代藩主)・正国、義母・和、家臣、領民の苦悩と苦闘を描くシリーズ第23弾。
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浦川や正棠たちの企てを打ち破り、無事高岡藩主の座に就いた正紀。決意も新たに藩内の改革を推し進めるべく、人事に着手するのだが、能力を重視する方針を打ち出したことで、その処遇を巡って不満を持つ者が出るなど、思わぬ軋轢が生じてくる。人心掌握の難しさに直面した正紀は、難局を乗り切ることができるのか。
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逼迫する藩の財政維持のため、今でいう藩士の給料2割カットを解消すべく、塩の商いを目論む正紀の行動力と妻・京のアイデア出し、良いコンビですね。また、これを邪魔しようとする他藩らとの戦いも見もの。
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■本書の基本情報
・筆者:千野隆司(チノ タカシ)
・略歴:1951年東京生まれ。國學院大學文学部卒。出版社勤務を経て中学校教諭となる。90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞。「おれは一万石」シリーズと「長谷川平蔵人足寄場」シリーズで第7回歴史時代作家クラブ賞「シリーズ賞」を受賞。
・出版:双葉社
・発売:2022年12月
・ページ数:259p
■これまでに購読した千野隆司の著書
・「出世侍」(全5巻)
・「おれは一万石」…第22巻まで(本書)
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◆AFP情報 … ジャンル:本・雑誌・コミック、料率:3%