紺野美沙子、浅野温子、沢口靖子そして富田靖子という当時アイドル的人気があった豪華四女優を揃えながら今までブルーレイ(DVD)化されていなかった。大林宣彦監督作品は大体DVD化されているのだが、この「姉妹坂」は公開以来35年殆ど陽の目をみることなく(VHS化はされた)埋もれていた幻の作品である。今回発売されることになったのは、昨年大林監督が亡くなったため、他社で「ふたり」、「青春デンデケデケデケ」がブルーレイ化されたこともあり、とりあえずそれに便乗して発売すれば少しは売れるのではないかと思ったのだろう。
そもそも東宝株式会社は戦前からある伝統的な映画会社であるにも関わらず、映画、映像を文化遺産として捉えて、大切な歴史的な財産であるという理念がない。萩原健一氏が亡くなって青春映画の歴史的傑作「青春の蹉跌」(そして「アフリカの光」や「雨のアムステルダム」)をようやくDVD化したように、そういう何か(不幸な)きっかけがないと、有名な作品、歴史的な作品でもなかなか蔵出しせず、自社の倉庫に閉じ込めたままだ。邦画のDVD(ブルーレイ)など商売にならないのは理解できるが、映画会社は文化芸術の一端を担っているという自覚も持つべきであろう。森谷司郎監督の「首」や青春映画の数々(内藤洋子や酒井和歌子主演作)も何かきっかけがないとブルーレイ(DVD)化されないのか。