54巻に引き続き遂に…飛信隊と趙左翼軍との戦いが決着しました。長い戦いでしたが、見所溢れる戦いだったのではないでしょうか。
両軍入り乱れての血みどろの混戦から、いつものというか、常勝方法といいますから、信や羌瘣が超人的な戦いぶりで突破口を開くのは、もはやお約束といえます。
でも個人的には、そんなお約束展開は嫌いではありません。王道ですが、それを迫力ある描写で描かれる楽しみがあります。
相手側の思わせぶりな描写、それらを含めて展開は皆さんマンネリや、戦争シーンが長いと言われますが…戦争漫画なんですから仕方ないかと。
それでも力のこもった描写や迫真の表情に気がつくと引き込まれて夢中になっています。
さらに、この55巻は淋しい別れが複数もありました。読んでいて涙が溢れ、自然とそのキャラクターの思い出がみたいために、また1巻から読みなおしてしまいました。
それぞれの男気溢れる最期に、しみじみ感慨深い気持ちでした。
そして遂に王翦の中央軍が動き出します。これまで落ち着きぶりが少し苛立ったりもしましたが、本巻末までの展開を見ると、各軍の戦いを別の戦いと考え、連ねてあくまで全体の勝利を目指す、作戦とでも言うべき王翦の戦い方がわかったように思えます。
そのあたりが、各戦局で戦術レベルでの冴えを見せこそすれ、戦場に対して全体的に見れば徐々に追い詰められている様子の李牧との違いが浮き彫りになってきた気がします。
李牧がこのまま敗者として終わるのか、王翦を上回る知略を見せて秦を再び追い詰めていくのか、それでも戦場の知略の戦いに、改めて期待してしまう55巻でした。