もともと謎の多い小田急1800系についてのみ書かれた本ですが、出自からしてモハ63形や、他私鉄に導入された同形車の話も少し載っています。その意味でも集大成的な本ですが、厚みは割と薄いです。
TR25A台車の呼称問題や、クイル台車を付けた1802号の決定的な画像など、筆者でしか書けない内容も掲載されていて、読み応えはあります。また明らかになった新情報もいくつもありますが、残念なのは、筆者の記憶違いなどで、正しく無い部分が散見されること。例えば70系戦災復旧客車に改造されたことが明白なモハ42005号が、1821→1811の前身であるとしてしまっていること(実際に日車へ運ばれた種車の写真が、「鉄道ファン」に掲載されており、それにはモハ42004と表記が残っていることからして42005は否定される)や、扇風機配線がなされた更新の時期が、カ所によって昭和30年になっていたり(実際の更新は昭和32年から)することなどです。
そのような校正不足?の部分を勘案して、星1つマイナスで。