一俵でも禄高が減れば旗本に格下げになるという、ぎりぎり一万石の小大名・下総高岡藩に婿入りした尾張徳川家一門の井上(竹腰)正紀、妻・京、家臣、領民の苦悩と苦闘を描くシリーズ第5弾。
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浄心寺本堂の改築の普請奉行である正紀、正広の解任、材木の入札操作が失敗すると、材木の搬送途中を襲おうと画策する正棠一派。正紀らはこれをを迎え撃つ。ぶつかる刃と刃!正紀らは無事に浄心寺改築をなし遂げられるのか!?
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4巻と本巻で一話。正紀、正広たちを敵視する分家下妻藩当主・正棠や本家浜松藩家老・建部の悪だくみの数々がねちっこい。これに対抗する正紀、正広、家臣たち活躍が面白いですね。
また、子供を流産して鬱になっていた京が、正紀のために行動する姿を通し、心が一つになり深い絆を結びつつある夫婦の姿が見ものです。
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■本書の基本情報
・筆者:千野隆司(チノ タカシ)
・略歴:1951東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒。出版社勤務を経て、'90年「夜の道行」で第12回小説推理新人賞を受賞。時代物シリーズを始めとする著書多数。
・出版:双葉社
・発売:2018年5月
・ページ数:286p
■これまでに購読した千野隆司の著書
・「おれは一万石」…第4巻まで