昔、風間さん見たさに「メンズノンノ」を写真集代わりに買っていた私が、後にその風貌からは想像のつかない貧乏話をTVでされているのを見た時はとても驚きましたが、今回こうして本として形になり、改めて風間さんの人間としての奥深さを知る事が出来て本当にうれしく思います。
幼少期のエピソードは正に「下手な大人より優れた人格者」です!
育ててくれた祖父母への感謝とやさしさ、貧乏だからと人から揶揄されても堂々と生きていこう、と心に決める過程も前向きで、生まれながらに持っている気質が一段上という感じがします。
この苦労を乗り越えられたのは、やはり「風間少年だったから」というところも大きいと思うのですが、幼少から中学まで空腹に耐える事の多かった風間少年が、高校生になりアルバイトが出来るようになってから、お腹いっぱい食べる事ができるようなり、自分で家賃や学費や食費を稼げるようになった時の心境を、
~体中の細胞の一つひとつが「ヤッホー!」と叫びながら踊り出しているかのような溌剌とした日々の中で、僕は長く暗いトンネルをようやく脱出できたことを確信していたのです。~
と喜びに満ちた表現をしているのを読んで、あとがきでも書かれているように正に「苦労は決して無駄にはならない」のだと思いました。
もしも普通の高校生が突然の自活を強いられたならば、何故自分がこのような状況に陥らなければならないのかと、我が身の不幸を呪ってしまうところだと思うのですが、幼い頃からただ必死で毎日を生き延びてきた風間少年には、苦労を苦労と思わずに幸せを感じられる、「心の筋肉」がたくましく鍛えられたのだと思います。
読み終わった後は爽やかな読後感に包まれ、取るに足らない事で悩んでいる自分が小さく思え元気を貰えました。
ステキな本なので、多くの本屋さんで目につく場所に置いていないのが少々勿体ない気がします。
沢山の人に読んでもらいたい本です!