今までISO 9001:2008の規格の品質システムを運営していたなら「要求事項の解説」本よりこの新旧規格の対照のほうがとっつき易い。
2015年改訂で、予防処置が削除され、リスクマネジメントと改善が規格項目として追加され、変更管理が設計の変更の中から独り立ち(?)というのは事前情報通り。
品質マネジメントの対象が「製品」だけでなく組織からのアウトプット全てを含む広い範囲を包括しようとするため、部分的に表現が概念的というか抽象的になっている。だから、2015年版の規格だけを読むと何となく掴み切れないイメージがあって、マネジメントが緩やかになったように誤解される向きもあるが、実際は逆のようで、管理の枠組みがしっかりしていないと、リスク管理も「どの程度ヤバイ」かは定量できないし、基準・標準が明確でないと管理すべき変更の内容もはっきりしないので、要求される管理レベルは高くなっていると思われる。
「要求事項の解説」も本書も、著者の規格への熱過ぎる思いが強く出ていて、規格改訂の経過や経緯がかなりのページを割いてあるが、普通の人はこの部分を殆ど読まない。また、付属書SLを参照するように記載されているが、これを別途購入しないといけない。たいしたボリュームではないので巻末に資料としてつけてくれても良いじゃないかと思う。