特に前半に過激で片寄のある表現があるので、誤解を受けやすい本だと思います。たしかに筆者は独断的思考があるかたのようです。しかし、それを受け入れたうえで読むと、最終的に筆者がいわんとしている核心を理解することができました。日本の精神医療は大変遅れていて、次々と薬を増やし続け、最終的には人間崩壊に陥る治療が平然と行われているという事実は昨今新聞等でも問題になっています。しかし筆者が指摘しているように、精神科の医師たちは投薬の知識はあっても断薬の知識が殆どないという事実をこの本で確認することができました。急性期の精神疾患に薬は必要だと思いますが、劇薬である精神薬を長期で服用してよいはずはありません。最終的に判断するのは自己責任であるのは当然ですが、断薬についての知識を得たいかたの必読書であると思います。私の知る限り、医師が断薬の仕方について書いた唯一の本だと思われます。薬だけではなく医師への依存心等の患者側の問題についても鋭い指摘がなされています。