これだけの逸話、情報を冷静な筆致で我々に伝えてくれた執筆陣、並びに出版社にまずお礼を申したい。
全編ショックの連続だったが一番衝撃を受けたのは「偲ぶ会から親族を排除しようとしていた人々」。
こんな輩が牛耳っているんじゃ「テレビ」も力をなくすわけだ。
その上、ワイドショーが食いつく問題にもかかわらずどこも報じようとしない所にそら恐ろしいものを感じる。
そら恐ろしいと言えば、この本の中心人物の女性。
虚飾にまみれ、弱者を装い男をコントロールしようという所に、最近読んだ小説「劇薬」を重ねていた。コワイ女は虚構の物語の中だけに存在していて欲しいがそうでないのが今の日本……。
本書は、百田氏の『殉愛』を検証しつつ日本の病理を見事炙り出す文字通りノンフィクションの白眉。
但し力作ゆえに読者は気力を試されるということも挙げておく。覚悟して繙かれたし!