言わずと知れたアカデミー受賞作で大ヒット映画ですが、映画館で観たいかと言うとそうでもなく、DVDを待っていました。
楽天レンタルでは全く借りれそうに無かったので、他に観たいという人もあって購入。
地域が違いますが山形出身なので方言にやや苦笑しつつも美しい音楽と雰囲気を楽しみました。
少し地方の出身で、身近な人の葬儀を体験した事のある人なら、実体験と併せて色んな想いがこみ上げる映像でしょう。
映画そのものより自身の想いに涙しました。
現代的職業である納棺師の技は、本木さんの美意識で練り上げあられた様式美と、大方は撮影用の色彩かと思われる祭壇の花や小物の色合いがとても美しかったです。
今時の殊に都会のセレモニー葬儀は簡単なので、こうした儀式めいた葬送に驚く人が多いのでしょうね。
ただ、伝統的な葬儀が行われる地方では、納棺の儀式以上に、通夜・葬儀・精進落し以降にも、初七日までは連日、お念仏とか色々な法事で人寄せがあり、家族がいれば大切に葬られるものと思います。
慶事より余程大事で、特に家族の女性はお台所で相当大仕事なのですが、その辺は割愛されているので、納棺だけに驚く方々はどうなのかな…?
一種のファッションとして興味を持つだけなら虚しい気がします。
20年も前に実家の祖母の葬儀で忌引きを取った時、父の年齢の上司にそんなに長く休む必要あるの?と言われたのを思い出します。
現代では廃れ行く儀式かもしれませんが、其々に意味があり、そうした法要を一つ行う毎に、胸の内で遺族が想いを整理する時間というのは、大切なものだと思います。
親族を送る儀式というのは、亡き人の人生や自分のルーツを見つめる時間ですね。
故郷や実家への愛着というのはこうしたノスタルジーと供に一つ一つ培われていくのだと思います。