これまでの笑えるエッセイとは対極にある赤裸々な自伝。読む人によっては凹む内容もあるかもしれません。私はこの人間臭さと不器用さこそ吉井さんだと思うのですが。バンドを続けることの難しさ、どこが頂点なのか、周りとの価値観の違い、人間関係、ご家族、思わぬ方向に流されていくこと…次々と出てくるエピソードに、この人はいつ満足して幸せになってくれるのかなんて思うとき言いようのない寂しさを感じます。でもミュージシャンはこれくらい隠さず溜めこまずに吐き出す方が良い。負のベクトルも曲に昇華するのがミュージシャンとも言えますから。また、求め続けて満足していないからこそ良曲ができるのだなあとも考えさせられました。音楽への葛藤部分は、かなりの読み応えあり。満足できるかは計りかねますがロックスターを、より身近に感じられることは確実!