デビューアルバムから、カシオペアのアルバムを通して聴いてはたと気がつきました。カシオペアのサウンドは、日本のフュージョンよりもアメリカのフュージョンに極めて近い印象を受けます。もちろんバックミュージシャンとエンジニアをアメリカで調達して録音すれば、誰の作品だってアメリカのフュージョンのように聞こえるでしょう。しかしカシオペアは「国産品」です。しかもMade in USAの擬物ではありません。プレイとアレンジそしてアルバムに封じ込められた空気感が、カラッと乾燥していてとても気持ちが良い。この極上のドライさがアメリカのフュージョンと通底しているように感じます。
この「CROSS POINT」は、以前のアルバムにみられるスリルやスピードよりもリラックスしたムードの曲が多く占めています。BGMでよく使用される、神保彰の「サニーサイド・フィーリン」が白眉の出来です。
カシオペアはこのアルバムまでの佳曲を編んで、大傑作の「MINT JAMS」をリリースします。