1994年の作品との事。静かで、特に何の変哲もない人々の、特にドラマチックな出来事も起こらない、ただ、父が亡くなり、久し振りに故郷に戻る男性、その通夜や葬儀で語られ、思い起こす、物語。ただそれだけの物語を、これだけ読ませるのは、登場人物が実に丁寧に描かれていればこそ。大袈裟なドラマや、ファンタジックな設定や、阿鼻叫喚など何もなくとも、漫画としての佳作、傑作は描けるのだという見本のような作品。犬が好きな谷口ならではの犬との関わりも秀逸。でもこういう作品、若い人が読んだらどう感じるのかなぁ。

年寄りには文庫本のマンガは読みづらいものですが、どこでも（電車内）軽くて読めるのがなによりです。 谷口ジロー作品にはずれはなかった。 大変良かった。

５０歳を過ぎて親が「そろそろ」の私たちには心に染みる漫画です。

私は父を２年前に亡くしました。それをまだ心の奥で認められない自分がいるので、題名からして読もうかどうか悩みました。でも作者の漫画をどうしても読みたかったので購入しました。「犬を飼う」もそうですが、人生をある程度積んできた人にはじ～んとくるものがあります。