●古い知人に贈るために購入しました。その方は麻痺が進行する難病に罹っており書店に行くこともままならないのです。
本書は私の座右の書でもあるので知人にかわってレビューを書くことにしました。
●本書『なぜ生きる』は「人は何のために生きるのか?」という根源的な問いに答えることを企図しています。
人生の目的というと「人それぞれだよ」という声が聞こえてきそうです。学生ならよい会社に入る、社会人ならビジネスで成功する、スポーツや学問で成果をあげる、よい配偶者を得て家庭を築く、マイホームを建てる・・・いずれもその人なりの目標や折々の生きがいではありますが、たとえば自分でトイレにも行けない身になったとしたらどうでしょう。元気だったときのような目標や生きがいを持つことができるでしょうか。
人生の目的は一時の心の支えややがて色あせる満足でなく、たとえ歳をとって寝たきりになり下の世話を受けるようになっても「これ一つ成し遂げたから満足だ」とニッコリ笑えるものでなければならないはずです。
●「生きることが人生の目的だ」と考える人もいます。さまざまな試練や逆境を乗り越えて生き続けるのが素晴らしいというのでしょう。
しかし生きることをマラソンにたとえるなら、走るために走る人はゴールのない円周を回り続けるようなものです。いつかは疲れ果てて走り倒れあるのみ。生きるために生きる戦いも、結果は目に見えています。
苦しくても頑張って走る目的は、晴れて決勝点に飛び込んで胸でテープを切ることでなければならない、と私は考えます。人生も然り。もし決勝点がないのなら一生はキリも際もない苦しみの連鎖に終わってしまうではありませんか。
●では真の人生の目的は何でしょうか?
本書が明示するところによるとブッダ・釈迦はその問いに「『人間に生まれてよかった』という生命の大歓喜を得て、未来永遠の幸福に生きることだ」と答えられています。
そんな途方もない幸せが本当にあるのか。あるとしたら私たちにも得ることができるのか。ぜひ本書を紐解いてお確かめいただきたいと思います。
なお人生の目的を果たした心の世界と、そこに至る道程は本書の姉妹編『なぜ生きる2』に詳説されています。併せて読まれるよう強くお勧めします。