知人にマーク・ロスコの画集を見せて頂いた。とても感動した。これを描いてみようと思ったとき、油絵をやらない僕は、真っ先にクレパスを思い浮かべた。タッチは似ている。油絵用筆洗い液でしっとり伸ばすこともできる。しかし、不透明さと混色の難しさが気になった。
そこで思い出したのが、シュトックマー社の蜜蝋クレヨンだった。前々から気にしていたのだが、なかなか買う機会がなかった。
人間の内奥の魂を育てようとしたシュタイナーも、おそらくこのような絵画と技法を好んだことだろう。まなざしの向こう側にある存在を描こうとするとき、この画材は強力な武器となることだろう。
僕は自らの心を照射しながらクレヨン・ブロックをつかむ。全ての芸術に共通の原点に触れるためには、このクレヨンでないと駄目だ。