『半妖の夜叉姫』それぞれの家族の姿 とわ、せつな、もろはが最終回で迎える未来は?
2020年10月にスタートしたアニメ『半妖の夜叉姫』(読売テレビ・日本テレビ系)がついに3月26日、最終回を迎える。
本作は2000年代に人気を博した高橋留美子原作のアニメ『犬夜叉』の最終回から十数年後を舞台に、殺生丸と犬夜叉の娘たちが活躍する姿を描いた新たな戦国御伽草子。『犬夜叉』のラストでは、どんな願いも叶えるという“四魂の玉”を巡る争いが終わり、戦国時代に平和が訪れたはずだったが、ある理由から両親と生き別れ、バラバラに暮らしていた殺生丸の娘・とわとせつな、そして犬夜叉の娘であるもろはの前に獣王・麒麟丸の一派が立ちはだかる。
麒麟丸は西の地を治めていた犬夜叉の父・犬の大将と並び立つ、東の地を支配していた大妖怪。一切卑怯な手は使わず、自分より強い相手と正々堂々戦うことを好む大妖怪としての威厳ある御方だ。そんな麒麟丸がなぜ、本作において主人公たちの最大の敵となってしまったのか。それには、最愛の娘・りおんの死が関係していた。
娘にあらゆる世界を見せたいと、戦場にもりおんを連れ出していたかつての麒麟丸。しかし、犬の大将に敗北した日からりおんは笑顔を見せなくなった。それは麒麟丸に戦いをやめさせるため、幼い娘が考えに考え抜いた苦渋の決断だったが、自分が負けてしまったからだと勘違いした麒麟丸はその日から最強の存在になることにこだわり、争いを重ねる。そんな矢先、「戦場に子どもを連れてくるな」と犬の大将に忠告されたにもかかわらず、戦いの場に同行させたりおんが半妖によって殺されてしまうのだ。
しかし、麒麟丸はりおんの死を認めず、彼女を幽体にして産霊山に封印。そればかりか、りおんとの旅を続けるかのように、自身は未開の地である時空の彼方へ行き、そこで妖霊星を破壊して人間からも妖怪からも怖れ慄かれる存在になろうとした。最強の証を手に入れ、いつか生き返ったりおんの笑顔を再び見るために。
そんな娘への歪んだ愛情が姿形となって現れたのが、希林理だろう。犬の大将との戦いで切り落とされた麒麟丸の右腕は骨食いの井戸を通って令和の時代にたどり着き、恐るべき野望を叶える機会を伺っていた。その野望とは、妖霊星の正体である妖霊蝶の力で永遠の命を手に入れ、りおんを“王”として共に世界を支配すること。自身の本体である麒麟丸に逆らっていたが、結局のところ2人の目的は同じ。そこには娘を守らなければ、娘の願いを叶えたいという、どこまでも過保護な父親の姿がある。