畠中祐、江口拓也、岡崎体育×木村昴……男性声優たちが音楽で見せる独自のアプローチ
2021年も6月に入り、4月期のアニメもクライマックスを迎えようとしている。近年では、主題歌やキャラクターソングといったアニメ関係にとどまらない男性声優の活動も多く見られ、幅広いフィールドで活躍している。そんな盛り上がりに呼応するように、多くの男性声優が音楽活動をスタートさせ、群雄割拠ともいえるシーンへと変わってきた。
今回はそんな男性声優アーティストシーンの中から、畠中祐、江口拓也、木村昴の3人にスポットライトを当ててみたいと思う。
畠中祐の7枚目となるシングル表題曲「TWISTED HEARTS」は、アニメ『憂国のモリアーティ』2クール目(TOKYO MXほか)OP主題歌。彼は同作1クール目のOP「DYING WISH」に続いて担当している。
「DYING WISH」はミュージカルを感じさせるオーケストラサウンド、トラップミュージックを模したハイハットやスネアロールとが混ざりあい、どこかシネマティックなムードを呼び起こすような楽曲に仕上がっていた。今回の「TWISTED HEARTS」は、よりクセの少ないエレクトロポップスになっており、これまでの畠中祐楽曲に寄せた1曲として仕上がっている。
彼がこれまで志向してきたダンスミュージックライクなサウンドは、カップリングに収録された「Moment For Life」でも存分に発揮されている。リズムトラックに深いリバーブがかかり、強めの歪みによるベースサウンドは大きく揺らぎつつ、畠中の声にはダブリングなどいくつものエフェクトが用いられており、EDMを基調としたポップスに仕上がった。
そんな畠中と縁深い関わりを持つ江口拓也も、デビューミニアルバム『EGUISM』を発表した。
アルバムタイトルにも反映されているとおり、本作はずばり江口自身の主義主張が反映された作品。畠中の楽曲とは打って変わって、鍵盤楽器とギターリフがアップテンポに乗って盛り上がっていく「ハローグッバイ」から始まり、ポストハードコア〜パンク寄りなサウンドに仕上がった疾走感ある「Life goes on」など、本作はバンド志向の強い内容となっている。
作曲はArte Refactの本多友紀が担当、作詞では本多とともに江口本人が4曲に参加した。例えば、収録曲の「素敵な夜に」について、江口曰く「作詞に参加しているわけではなくて、本多友紀さんにほぼお任せしました。僕が普段使わない言葉をちょっと修正したくらいです」(※1)、さらにアルバムのテーマの関しては「好きな雰囲気の曲調を集めたらこうなりました」(※2)とのことだが、初のソロアルバムは嗜好性やフィーリングがしっかりと感じられる作品になっている。