タラの歴史
タラの歴史/エリザベス・タウンセンド
(Cod: A Global History by Elisabeth Townsend, 2022)
2023年2月26日/192ページ
目次:タラとはどんな魚? 「発見の時代」を支えたタラ タラ戦争と漁業の発展 貿易により世界中に広まったタラ 21世紀の持続可能性 タラの保存・購入・調理
魚のタラと人間とのかかわりの歴史を解説した本です。
タラがいなければ、海の民族移動も大航海時代もなかった!
食料、漁業、貿易、調理などさまざまな視点から「鱈」を紹介します。
イギリスの探検家がアメリカ、現在のメイン州から海岸沿いを探索していたとき。
彼はさらに南下し、先端の岬を ケープコッド(タラ岬)と改名した。(65ページ)
タラがたくさん獲れたようで船が満杯になり、かなりの量を海に戻したのだそうです。
この半島は現在のメイン州ですが、タラ(タイセイヨウタラ)がたくさんいたから「タラ岬」とは・・・。
地名を付けられるほど広大な土地があるとは羨ましいものです。
そして、マサチューセッツ州との関連では、木で作られた彫像「聖なるタラ」なるものがあるそうです。
ボストンにある マサチューセッツ州議会議事堂 に吊るされており、経済の繁栄を表している。(78ページ)
ヘンなものが吊るされているのですね。
しかし、それだけタラが経済活動に貢献したということで、タラで儲けた人々は「タラ貴族」などと呼ばれたそうです。
新しい土地に移り住んで、簡単に生計をたてることができるのは、どちらかと言えば農業ではなく漁業なのですね。
貿易に貢献したことも見逃せません。
タラの発見、そしてその保存法(塩漬け、乾燥)が確立されていたからこそ、商人は長期間の航海に耐えられたといいます。
ヨーロッパ人、特にポルトガル人は、あれほど早く新世界を発見していなかった(117ぺージ)
つまり貿易路が開拓されないまま、結果として「富」をもたらさず、ポルトガルのような小国の繁栄はなかった。
歴史というのはさまざまな事象の積み重ねであることがわかりますね。