地形と地理でわかる京都の謎
地形と地理でわかる京都の謎/青木 康、古川 順弘
2022年8月24日/223ページ
目次:なぜ、平安京は京都につくられたのか―古代編 なぜ、京都御所は平安京の中心にないのか―中世編 なぜ、豊臣秀吉は京都を大改造したのか―安土桃山時代編 なぜ、京都は首都にならなかったのか―近世・近代編 なぜ、京都人は「いけず」なのか―現代編
京都の歴史、そして今ある京都がどのように形作られたのか、地理的な視点で解説した本です。
地図が多く掲載されており、その地図が理解を助けます。
平安京は右京が荒廃したため西寺が没落したのだそうです。逆に東寺は有名ですよね。
西寺があった九条付近は人が住まなくなったのだとか。
京野菜として知られる 九条ねぎ は、この九条付近にできた耕作地で栽培されたことが発祥である。(46ぺージ)
比較的白い部分が少ないネギですね。
それにしても何が原因で名産というものが生まれるかわかりませんね。
なぜ京都に徳川幕府が開かれなかった理由について3つ。
京都はあまりにも 防御機能が脆弱 だった。(略)都市の規模を拡大させることが難しかった。(略)海外の貿易拠点として京都が不向きだった。(134ページ~)
なんだか後付けのような気もしますが、徳川家康という人が過去とのしがらみのない江戸に幕府を開きたかったというのはなんとなくわかります。
そのことが260年間も幕府が続いた一番の要因なのかもしれません。
人や国は、なぜか隣人どうし、隣国どうし、仲が悪いことが多いですから。
「京都十代、東京三代、大阪一代」と揶揄されるように、京都人と認められるためには難題にもわたって暮らす必要がある。(188ページ)
京都人が排他性をもっていることについて説明があります。
筆者は京都の唯一の武器が「文化」であると結論付けています。そのために京都が「優れた地域」であることを印象付けるための生存行為なのだとか。
しかし、この考えが正しいとしても、それは東京に「都」が移ってからではないでしょうか。それまでは、いちおう形だけでも日本の中心であったわけですから。
そして郷土料理で話題となる軟水と硬水の違いについて。
京都の水は軟水だが、軟水は 昆布出汁 を取るのに最適な水である。ちなみに江戸の水は硬水のため、昆布出汁ではなく、硬水に合った 鰹出汁 文化となっている。(201ページ)
昆布は長期保存ができるので京都でも使われたのだとか。
さらに薄味については、あとから味付けすることを前提としたものなのだそうです。
当時の海水面は低く、海岸線は現在よりも内陸にあった。(18ページ)
ん? 重箱のナントカで申し訳ないのですが、海岸線が内陸にあったのならば、海水面は高いはずでは?