80億人の「侘び寂び」教養講座
80億人の「侘び寂び」教養講座/岡本 浩一
2023年3月13日/191ページ
目次:クイズ「どの茶道具が侘びていますか?」 「侘び寂び」の新概論―心理学的視点まで 侘び茶碗から「侘び寂び」を理解する物語 茶の湯に見る「侘び化」の物語章 近代から現代にいたる「侘び寂び」とその大乗化
いわゆる侘び寂びに関して、多くの写真や実例を交えての具体的な記述による、その概念の解説です。
筆者によれば読者は限られていて、侘び寂びの理解を求める人やその理解によって自分を整えたい人なのだそうです。
問15 次の三つの柱材を 侘びている順に 並べてください。
角柱 皮剥き丸柱 皮付き丸柱
(57ページ)
単純に考えると、最も侘びているのは皮付き、次に皮むき、最後に角材になると思いましたが、「解答」もそのとおりでした。
贅沢をやめて丸い柱を使い、さらにエコな感覚で皮付きの丸柱を使おうというのが「侘びの感覚」なのだそうです。
エコだなんて奥が深すぎる。
そして心理学的仮説までも提示されます。
「寂び」- 人格概念。出世など 現世的価値 を求めない遁世的価値観。
「侘び」- 「寂び」をうかがわせる表情、所作、物腰、趣味、持ち物の傾向。
(75ページ)
足るを知るとか、多くを求めない、諦念を備えていることが挙げられていますが、諦念だけはちょっと違うような気がします。
現世的な価値を諦めきれていないのでは。
また、現世の成金的な価値や趣味を知らなければ、これを諦めるという感情も発生しないのではないでしょうか。
心が乱れた時の対処。
そういうときに、自身の「侘び」のオブジェに触れて いただいて、それが「寂びた」心境を取り戻させてくれるかどうかをひとり静かに実験してみていただきたいのです。(180ページ)
何か自分を取り戻せるようなモノを決めておくとよいのでしょうか?
またはモノでなくても、瞑想などの「行為」とか。
映画などでも、主人公があるモノである行為をすることによって、自分や自分が置かれた状況を再確認するというシーンがよくあります。