図説 ポルトガルの歴史
図説 ポルトガルの歴史/金七 紀男
2022年11月30日/131ページ
目次:建国前のポルトガル ポルトガル王国の誕生 大航海時代の幕開け 衰退とスペイン併合 再独立とポンバルの改革 近代化への苦悩 現代のポルトガル
豊富な地図や写真によりポルトガルの歴史を解説している本です。
内容は、特にポルトガルの栄華と衰退の要因のほか、先史時代からブラジルに依存した時代、植民地を全て解放してからの現代史にわたります。
ディアスはこの岬を「嵐の岬」とよんだが、ジョアン二世はインドへの道が開けたとして「希望の岬」と命名した。(35ページ)
初めてアフリカ大陸南部の岬を迂回したバルトロメウ・ディアスがかわいそう。
それまでインド洋は内海と思われていたそうです。
近年ではサグレスを訪れた 司馬遼太郎 が「(略)ここはたしかに世界最初の航海学校があった、というゆるがぬ実感を得た」と述べている。(37ページ)
実はサグレスには公開学校が無かったことが1959年に証明されています。
「竜馬がゆく」で坂本龍馬のイメージを大きく変えた司馬氏。
またやっちゃっています。
エリセイラ伯ルイス・デ・メネーゼス
エリセイラは硬貨の縁が削り取られるのを阻止するために ギザギザ を採り入れたことでも知られている。(77ページ)
役に立つかわからない豆知識。
最後に、何故ポルトガルが最初に海洋帝国を築くことになったかについてまとめておきます。
- ヨーロッパの西端にあり帆船の航海に有利な位置にあった。
- 国家事業として海外進出を推進した。
- 他の国は戦争に明け暮れていた。
- 遠洋漁業の漁師、下級貴族の次男・三男が進出の担い手となった。
- レコンキスタの延長であった。
- ユダヤ教徒の天文学、イスラムの航海術を活用した。
(44ページ~)
また、衰退の要因です。
- 中継貿易に終始して国内産業が発達しなかった。
- 艦隊などの維持費が交易による収益を上回った。
- 非能率と腐敗をもたらす官僚制
- 新キリスト教の迫害によりオランダなどに人材が流れた。
(55ページ~)
まるで 極東のどこかの国 が、これをそのまま再現しているように思えてなりません。