フィンランドは今日も平常運転
フィンランドは今日も平常運転/芹沢 桂
2022年6月15日/239ぺージ
目次:フィンランド人を見分けるには ヘルシンキの街角で ととのわない楽しみ それぞれのやり方で もちろん楽ありゃ苦もあるさ どっぷり暮らせど謎はつきない フィンランドは今日も平常運転
フィンランドに移住した筆者が、現地で出会ったさまざまなフィンランド人を描いています。
フィンランド人はシャイで内向的・・・などと言われているが、それらの特徴にピッタリ当てはまる人などいないと断言します。
フィンランドを紹介する本のなかで、必ず取り上げられるのが「サウナ」ですが。
フィンランド人は サウナでととのったりなんかしない。絶対に、だ。(60ページ)
また、冷たい水浴びについても。
たいがいはアルコールが入っている からだと断言できる。つまり酔っ払っているだけ。(62ページ)
フィンランドではだれもととのおうなんて高尚な志はなくほんのりほろ酔いのテンションでサウナに臨んでいるのである。(65ページ)
もう日常の習慣になってしまっているということでしょうか。
昨今の日本でのサウナ「ブーム」についても、サウナをはやらせるために「ととのう」などというワードを引っ提げて、PRしているのですから。
サウナを利用するのはオッサンなどというイメージを払拭するため、「ととのう」という精神的な作用を持ち出してきたのかも。
目的がなければ習慣化しませんからね。
サバサバしているという印象もある同国民ですが、その「離婚」についても。
筆者の友人の場合も「決定的なドラマ」などは無かったのだそうです。
友人曰く、「単に一緒にいる理由を使い果たした」のだという。奥が深いようで、浅い。(208ページ)
理由があるから何かをする、理由が無ければしない。
確かに根源的であり、シンプルでもあります。
これまでの記憶に基づく感情よりも、現在の感情を優先するということでしょうか?
日本での「幸せな国 フィンランド」という捉え方についても一石を投じています。
「幸福だからって別に いつも笑っているわけじゃない でしょ」(232ページ)
確かに不幸だからいつも泣いているわけではないし、怒りっぽい人だから必ずいつも怒っているわけではありません。
いわゆるリカレント教育にみられるように向上心はあるものの、現状に対して一定の満足感があり、ガツガツと他人を気にしないという態度なのではないでしょうか?