世の中に無かった概念を提案する。4月1日の意味を変えるApril Dreamプロジェクトにかけた想い|株式会社PR TIMES

CULTURE 12

世の中に無かった概念を提案する。4月1日の意味を変えるApril Dreamプロジェクトにかけた想い

  • 杉本 秋(株式会社PR TIMES 営業 兼 広報担当)
  • 根本 智帆(株式会社PR TIMES PRプランナー)

DATA:2020.07.17

4月1日といえば、年に一度嘘をついても良い日『エイプリルフール』。多くの人が、エイプリルフールに嘘を楽しんだことがあるのではないだろうか。

今年、PR TIMESはこの日に新しい文化を作ろうと挑戦をした。「April Dream 4月1日は、夢の日。」プロジェクトである。4月1日を『嘘』ではなく『夢』を発信する日にしようというものだ。プロジェクトは発表後、多くの人の共感を得て、実施当日である2020年4月1日には、プレスリリースやSNSを通じて発信された360 件を超える企業や個人の夢がApril Dreamのサイト上で語られた。

同プロジェクトを牽引したのが、プロジェクト担当者であるPR TIMES杉本秋(すぎもと・しゅう)と根本智帆(ねもと・ちほ)だ。今回のインタビューでは、担当者の二人に、期待と不安と向き合ったプロジェクト期間の裏側について語ってもらった。

杉本 秋

杉本 秋

株式会社PR TIMES 営業 兼 広報担当

TV制作スタッフとして情報バラエティ番組の現場を経験し、PR TIMESでは大手企業からスタートアップまで多様なクライアントのPRの相談を受ける他、マーケティング施策としての業務提携やイベント企画に携わる。
直近では、「April Dream 4月1日は、夢の日」という、新たな文化創成のためのプロジェクトを担当。
当社スタートアップ施策全般を担当しており、VCやインキュベーターなどとの連携施策を推進する他、セミナー登壇やメンターとしてスタートアップ支援プログラムなどにも参加。

根本 智帆

根本 智帆

株式会社PR TIMES PRプランナー

2016年にPR TIMES入社。PRパートナー事業部に所属し、PRプランナーとして、美容・コスメ、食品・スイーツ、ホテルや美術館等、様々な業界のクライアントとともに、デジタルを起点とした新商品PRやイベント、広報効果測定など多様なPR活動を手がけている。また、AOYAMA MEDIA NIGHTなど、メディアパーソン向けイベントの運営も行っている。

PR TIMESが『4月1日』を前進させるApril Dreamプロジェクト

これまでもPR TIMESは4月1日のエイプリルフールに企画を仕掛けてきましたよね。今回はどのような背景でApril Dreamの企画が立ち上がったんでしょうか?

杉本:はい。PR TIMESでは2015年から、4月1日にエイプリルフール“ネタ”のプレスリリース配信を無料とするプロジェクトを行ってきました。エイプリルフールならではの、人を笑わすことのできる『嘘』の情報発信は、企業の広報活動を後押しできると考えてきたからです。

株式会社PR TIMES 杉本 秋

根本:今回のApril Dreamの企画は、4月1日に『嘘』ではなく『夢』を語ろうというもの。
本当に自分が叶えたい夢って、心の中にあっても普段はなかなか言えないものですよね。自分でも本当に叶うのか不安に思ったり、大きすぎるように感じて気恥ずかしかったり、時には誤解されることもあったり……。

でも、4月1日はエイプリルフールであると同時に、新年度や新しい期の始まりの日です。この4月1日という情報発信の絶好の機会だからこそ、そんな普段口に出来ない『夢』の発信を後押しできるのではないか。また、それが個人や企業がより良い社会の実現のために行動するきっかけになるではないか。そう考えて生まれたのがApril Dreamのアイディアです。
PR TIMES代表の山口が発起人となり、社内外多くの方が関わってくれましたが、社内の担当者として私たちが声をかけられました。

株式会社PR TIMES 根本 智帆

とても意義のある企画ですが、その主旨を聞いた時の印象はいかがでしたか

根本:色々な企業の新しい魅力の発見に繋がると思いました。企業の『夢』に近いものとして、ミッションや経営理念を掲げる場面は多いですが、抽象度が高く、その達成によって社会がどう変わるかイメージできないことも多いと思うんです。

でも、『夢』はもう少し具体的。その会社の事業やサービス、人が、社会にどのような変化をもたらそうとしているのかを想像しやすくなるので、夢を働く本人も、一緒に働く人々も、よりワクワクしながら仕事に取り組める機会にもなると考えました。
そこで見えてくる意義や価値を、世の中の人に届けたいし、私自身も発見したいと思いました。

杉本:最初は、まず企画の面白さにワクワクしました。これまで単純に「面白い、楽しい」と思っていた『嘘』が、何か“動き”に繋がるんじゃないかという予感がありましたね。
ただ、プロジェクトが走り始めた2020年の1月には、この規模の大きさにあまり実感を持てていなかったのが正直なところです。


社内外を巻き込んだ大プロジェクト。チームを率いる二人が心がけたこととは?

確かに例年のエイプリルフール企画に増して、大きな規模でしたね。関わる方も多かったのではないでしょうか。

杉本:社外のパートナーの方も含めると、かなり大規模になります。コピーライティングは、武藤雄一さんに、アドバイザーはソウルドアウト株式会社の美濃部哲也さん、さらに企画のサポートやサイト制作に携わってくださったパートナー企業の皆さま。
社内でも僕ら二人だけではなく、お客様サポートのメンバーやPR TIMES MAGAZINEの編集部など、たくさんの方が尽力してくださり、最終的には数十名の方の手が加わったのではないかと思います。

根本:私たちの意見を出し合いながらも、各領域のプロフェッショナルな方々にご協力いただくことで、どんどん良いものを作り上げることができたように思います。

心強いチームですね。でも、チームが大きくなるということは、率いる担当者の力も試されます。今回担当者としてタッグを組んだお二人はこれまで同じチームで働いたことがないと聞きました。どのように連携されたのでしょうか?

杉本:お互いの業務で培った強みを活かして、うまく進行できたと思います。
営業本部に所属する僕は、ご協力いただける企業様への窓口を担当し、PRプランナーである根本さんは、全体のコミュニケーション設計を担ってくれました。初めて同じプロジェクトにつきましたが、根本さんの責任感の強さには刺激を受けたし、心強かったです。

根本:役割にこだわりすぎず、フラットに相談しながら進められたのも良かったと思います。自分一人では答えが見えないシーンも多くありましたが、杉本さんは相談に乗ってサポートしてくれたり、時には面白く和ませたり…(笑)助かりました。

強みを活かし合えるタッグというのは、お互いへのリスペクトがあるからこそですね。では、チーム全体を動かす上で、お二人が心がけたことはありますか?

杉本:そうですね。どんな方とお話しするときも、とにかく“オープン”でいることは意識していました。

根本:確かに、“オープン”のキーワードは重要でした。関わる方が多い中で、断片的な情報で伝えたり、業務を依頼したりすると、その方は全力で取り組んでくださったとしても、本来伝えたかったことと結果が違ってしまう場合があります。


隠そうと意図していなくても、結果的にそうなってしまうことは想定以上に起こる。だから、意識することが大事。繊細なプロジェクトだったからこそ感じました。

なぜApril Dreamをやるのか?迷ったとき何度も読み返したミッションの一文

杉本:“オープン”は、私たちPR TIMESのバリューの一つ「Open and Flat for breakthrough」にも含まれていますが、このプロジェクトを通して、バリューやミッションに対する意識がかなり強くなりました。
正直、この企画を始めた1月の当初は、この企画の意義に深く共感するよりも、既存の文化に新しい側面で切り込んでいくという企画の面白さに惹かれていた部分が大きかったんです。

でも、世にまだないApril Dreamという概念を生み出す過程で、「なぜ僕たちはApril Dreamをやるのか?」という問いに向き合わないといけない場面が何度もありました。そんなとき、立ち返るのはやっぱりミッションなんです。“行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ”のたった一文を、この期間中、何度も読み返しました。これを繰り返す中で、この企画の意義とPR TIMESのミッションが自分の中に、すっと入ってきたように思います。

根本:今回の「April Dream 4月1日は、夢の日。」は、新しい概念の提案だと思っています。つまり、私たちが伝えるまで、世の中の人は“April Dream”が何なのかも、そもそも存在自体も知らない。私たちが伝えたことが、“April Dream”になる。

私たちが本当に実現したい世界観がきちんと伝わるかは、発信者である私たちにかかっています。だからこそ、言葉選び一つとっても、慎重に決断していく必要がありました。ミッションは、そんなたくさんの選択の中で迷ったときの拠り所になりました。

世の中に新しいものを生み出す過程は、迷いや不安もありますよね。

杉本:根本さんの言う通り、届けたいメッセージを適切な方法、適切なタイミングで伝えられるかというプレッシャーはありました。
でも一方で、武藤さんが考えてくれた言葉も含め、一つひとつにこだわったので、ちゃんと届けられさえすれば、世の中にもこの意義を感じてもらえるだろうとそう強く信じていました。だから、プレッシャーを除けば、不安よりも楽しみが大きかったです。

まだまだやれる。#AprilDreamを世界の文化に。

その確信通り、当日は多くの企業や個人が参加し、盛り上がりましたよね。反響はいかがでしたか。

根本:事前の参加お申込み時点で200社を越える企業がプロジェクトに賛同してくださり、当日に急遽配信してくださった企業もあったので、最終的には240 社の『夢』を語るプレスリリースを世に出すことができました。
企業のプレスリリースにとどまらず、個人の方にもSNSで参加していただけるようジェネレーターを用意するなどの仕掛けもしていたので、個人の方の発信も含めると、さらに多くの方にご参加いただけたことになります。

ジェネレーターで投稿された空の画像と夢

杉本:やり取りしていた企業の方からは、まさしく、一人の熱量が社会を動かす可能性を感じたお話も伺いました。
考えた自社のApril Dreamが、担当者から代表の方の耳に入り「それは全社が集まる朝礼でも話がしたい」と、会社全体を動かしてくださることになったんです。結果的には、コロナウィルスの感染防止の観点から朝礼で集まれなかったと伺っていますが、一人の担当者という“行動者”が代表、そして会社自体を動かした事例だと感じて嬉しかったですね。

企業や個人の発信内容を見ているだけでも、心を揺さぶられるようなものばかりでした。反響を見ると、お二人も感慨深かったのではないでしょうか。

根本:そうですね。ご参加頂いた方の夢を見ていて純粋に嬉しかったし、ありがたいという気持ちでいっぱいでした。
でも、一方で事前にすごく興味を持って賛同してくださっていても、当時コロナウィルスによる緊張が高まる社会情勢の中で、どうしても夢のプレスリリースを出せないという企業もいらっしゃいました。私たちが直接見えなかったところでも起きていたかもしれません。そう考えると、次に繋げたいという想いも強いです。

杉本:僕らは、April Dreamを全世界の人に広めたい文化だと思っているので、「まずは200強の企業や個人の方が参加してくれた1年目が終わった」という感覚なんです。いい意味でやり切ったという感慨はないかもしれないですね。

次に繋げたいという想いが強く伝わります。今後についても、お二人の考えをお聞かせください。

根本:正直、本当はやりたかったけれど、安全に配慮して出来なかったオフラインの企画もあったんですよ。そのあたりも、状況が整えばオープンにしていきたいですね。

杉本:どういう形になるかはわかりませんが、来年再来年と続けたいですね。

根本:私たちはミッションの実現に向かって行動しているので、April Dreamにとどまらずこれからも挑戦していきたいです。
もちろん、普段の業務から。今後は、このプロジェクトによって強くなったミッションに対する想いを持って、改めてお客様や仕事に向き合いたいですね。


取材・編集:萩原 愛梨 撮影:関 竜太   ※本記事はリモートで取材を行い、別日に撮影を実施しております。