マンション評価通達の内容と実務への影響 【第3回】 安部 和彦 – 税務・会計のWeb情報誌『プロフェッションジャーナル(Profession Journal)』|[PROnet|プロネット]
公開日: 2024/06/13 (掲載号:No.573)
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マンション評価通達の内容と実務への影響 【第3回】

筆者: 安部 和彦

マンション評価通達の内容と実務への影響

【第3回】
(最終回)

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

《【第1回】はこちら

1 はじめに

2 マンション評価通達の内容

(1) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額

(2) 一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額

(3) 適用時期

(4) 「案」との相違点

(5) 通達に基づく評価方法のフローチャート

《【第2回】はこちら

3 マンション評価通達の意義とその適用

(1) 通達案に係るパブリックコメント

(2) マンション評価通達の真意

(3) 通達の適用対象外となるマンション

(4) マンションの評価事例

 

4 マンション評価通達の実務への影響と今後

(1) 評価乖離率の算定時点からの「乖離」

国税庁が示した評価乖離率算定に係る算式が妥当なものであるのかどうかは、残念ながら現状、厳密な検証はできないのであるが(※22)、仮に妥当なものであるとした場合であっても、その算定時点が問題となる。すなわち、当該算式は、平成30年中の日本全国の中古マンション取引から異常値を除去して抽出された2,478件の取引データにより導き出されているのであるが(※23)、以下の表で見る通り平成30年以降の首都圏(中でも都区部)のマンション価格は上昇傾向にあることから、令和6年1月1日以降取得等するマンションに関し、平成30年時点のデータに基づく評価乖離率では、果たして適正な評価ができるのか大いに疑問である。

(※22) 自由度調整済決定係数が0.5864に過ぎない点も、この算式の妥当性に疑問が生じるところである。国税庁「第2回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年6月1日)別添2資料4頁参照。

(※23) 国税庁前掲(※22)資料2頁参照。

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マンション評価通達の内容と実務への影響

【第3回】
(最終回)

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

《【第1回】はこちら

1 はじめに

2 マンション評価通達の内容

(1) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額

(2) 一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額

(3) 適用時期

(4) 「案」との相違点

(5) 通達に基づく評価方法のフローチャート

《【第2回】はこちら

3 マンション評価通達の意義とその適用

(1) 通達案に係るパブリックコメント

(2) マンション評価通達の真意

(3) 通達の適用対象外となるマンション

(4) マンションの評価事例

 

4 マンション評価通達の実務への影響と今後

(1) 評価乖離率の算定時点からの「乖離」

国税庁が示した評価乖離率算定に係る算式が妥当なものであるのかどうかは、残念ながら現状、厳密な検証はできないのであるが(※22)、仮に妥当なものであるとした場合であっても、その算定時点が問題となる。すなわち、当該算式は、平成30年中の日本全国の中古マンション取引から異常値を除去して抽出された2,478件の取引データにより導き出されているのであるが(※23)、以下の表で見る通り平成30年以降の首都圏(中でも都区部)のマンション価格は上昇傾向にあることから、令和6年1月1日以降取得等するマンションに関し、平成30年時点のデータに基づく評価乖離率では、果たして適正な評価ができるのか大いに疑問である。

(※22) 自由度調整済決定係数が0.5864に過ぎない点も、この算式の妥当性に疑問が生じるところである。国税庁「第2回 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」(令和5年6月1日)別添2資料4頁参照。

(※23) 国税庁前掲(※22)資料2頁参照。

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連載目次

マンション評価通達の内容と実務への影響

【第1回】

1 はじめに

2 マンション評価通達の内容

(1) 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額

(2) 一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額

(3) 適用時期

(4) 「案」との相違点

(5) 通達に基づく評価方法のフローチャート

【第2回】

3 マンション評価通達の意義とその適用

(1) 通達案に係るパブリックコメント

(2) マンション評価通達の真意

(3) 通達の適用対象外となるマンション

(4) マンションの評価事例

【第3回】

4 マンション評価通達の実務への影響と今後

(1) 評価乖離率の算定時点からの「乖離」

(2) 依然として残った相続税プランニングの「余地」

(3) 相続税プランニングの「余地」に対する実務家の対応

(4) 評価乖離率が零又は負数となるケース

5 まとめ

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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