政府が孤独に関する大規模調査を初めて実施
内閣官房の孤独・孤立対策室において、日本における孤独・孤立の実態を把握するための初の大規模調査(約2万人対象)が実施されました。
今回は、その結果を紐解きながら、孤独の問題の本質は何かを明らかにしていきたいと思います。
本調査は、非常に多岐にわたる質問が用意されていますが、中でも配偶関係別に孤独の実態を調査している点が評価できます。性別や年代別だけでは見えてこない違いがあるからです。
まず、配偶関係別の孤独感について男女年代別に見てみましょう。
全体的には、未婚および離別・死別などの独身のほうが孤独を感じやすく、女性より男性のほうが孤独を感じやすい。さらに、年齢的には、30~50代の中年層が孤独を感じやすいという傾向が見てとれます。もっとも孤独を感じやすいのは、男性では50代で配偶者と死別した層、女性では30代で離婚した層でした。
孤独を感じることと「それを苦痛に感じる」ことは別問題
しかし、単純にこれだけを見て、「やっぱり結婚したほうが孤独じゃないんだな」と結論づけてはいけません。そもそも「孤独が問題だ」と大声で騒ぐわりに、性別や年齢、配偶状況にかかわらず「孤独を感じる」という割合は過半数にも達していないわけです。高齢者の孤独という話題もありましたが、これを見る限り、むしろ高齢になるほど孤独感は感じない傾向もあります。ある意味、現役世代で人との交流機会が多いはずの年代のほうが孤独感は高いということになります。
そして、忘れてはいけない視点としては「孤独を感じることが決して万人にとって悪いことではない」ということです。言い換えれば「孤独を感じる」ことと、その「孤独を苦痛に感じる」こととは別です。