2017年10月に、ニチアサに大改編が行われました。
ようやく、日曜日の朝の視聴週間の変化にも慣れてきた様な気がします。
さて、この6か月間、ずっと「視聴率」の動向を見てきました。
「ニチアサ改編」により、視聴率はどう動いているのでしょうか?
<ニチアサ視聴率の推移>
データは2017年1月1日~2018年4月30日までで、
半透明になっているのが、実際の視聴率*1の推移、
太い実線は「24週の移動平均線」です。(1つの点が24週分の平均値)
(推移を見るのには移動平均線が適していると判断し、6か月(=24区間)での移動平均を取りました。平均を取っているので急激な上下動が少なくなっています。)
また、赤い垂直線が2017年10月、ニチアサ改編が行われた時です。
<ニチアサ世帯視聴率の推移:6か月移動平均線>
これを見ると
2017年10月のニチアサ改編により「世帯視聴率」は
1:「ワンピース」は10月以降の世帯視聴率はやや下落しながらも比較的安定。
2:「ドラゴンボール超」は下落傾向にあったが「ゲゲゲの鬼太郎」になり回復。
3:「プリキュア」の世帯視聴率は上昇傾向。
4:「戦隊」もほぼ改編の影響を受けずに安定。新シリーズが始まって上昇傾向
5:「仮面ライダー」は10月の改編以降下落傾向。
であることががわかります。
(※もちろん世帯視聴率は「人気の指標」では無いですし、「新シリーズの始めは高く、その後徐々に落ちていく」のも当然ですし、8月は低く出るなど、季節による変動もあります。
また、大きな行事や、裏番組の影響、生活習慣の変化などにも大きく受ける事が多々あるので、一概に「改編の影響」とは言えませんので注意です。)
枠移動した「テレ朝」のみを抜粋
その中でテレビ朝日系列の「プリキュア、仮面ライダー、戦隊のみ」を取り出して、比較するとこんな感じです。
(差を分かりやすくするために、縦軸が「0」から始まっていませんので注意です)
見事に、2018年10月の改編以降「仮面ライダー」のみ世帯視聴率が下がっているのが判ります。
プリキュアおよび戦隊は2月に新しいシリーズになったタイミングで世帯視聴率を上げています。
仮面ライダーも新シリーズになった2017年9月のタイミングで一度上げているのですが、その後に徐々に落ちてきています。
ただ、これだと単純に「プリキュア」「戦隊」は2月に新シリーズになったから上がっているだけで、
「9月に新シリーズになった「仮面ライダー」は日数が経つにつれて世帯視聴率が下がっていくのは当たり前では?」という事も考えられます。
そこで、昨年度(2017年)と、本年度(2018年)の同時期での世帯視聴率の推移を並べてみました。)
太い実線は「12週の移動平均線」です。(1つの点が12週分の平均値)
オレンジが昨年(2017年)
青が本年(2018年)です。
(こちらも差を分かりやすくするために、縦軸が「0」から始まっていませんので注意です)
仮面ライダーの世帯視聴率は、昨年度と比較しても本年度は10月以降に大きく落ち込みを見せています。
特に10月以降、11,12月で世帯視聴率を大きく落としている事がわかります。
やはり「改編による世帯視聴率の影響があった可能性」も高いと思われます。
更に、仮面ライダーの世帯視聴率は、2018年4月以降、フジ系列の「ゲゲゲの鬼太郎」が始まったタイミングで更にに落ち込みを見せている事より「ゲゲゲの鬼太郎」にリアルタイムの視聴層を取られている可能性も高いです。
世帯視聴率はあくまで「リアルタイムで」視聴している数字なので、「仮面ライダーは録画」して、「プリキュア→ゲゲゲの鬼太郎→戦隊シリーズ」をリアルタイムで視聴する流れになっている層も多くなっていることも考えられます。
KIDS視聴率
ただ、これが「KIDS視聴率(男女4~12歳)」になるとまた様子が変わってきます。
同様にKIDS視聴率の推移グラフです。(太線は24週の移動平均線)
「仮面ライダー」のKIDS視聴率は10月の改編以降、上昇しています。
また「戦隊」も2月の新シリーズ以降大きくKIDS視聴率を伸ばしています。
プリキュアは若干の上下動をしながらもほぼ変わらない推移。
ワンピース、ドラゴンボールは10月の改編以降大きくKIDS視聴率を落としています。(ただ、「ドラゴンボール超」から「ゲゲゲの鬼太郎」に変わりKIDS視聴率も回復してきています)
「KIDS視聴率」は、10月の改編以降、
1:フジテレビ系列が苦戦
2:テレビ朝日系列は好調
、というわかりやすい構図となりました。
時間移動の無かったプリキュアのKIDS視聴率はほぼ変わらず、時間移動をした「仮面ライダー」「戦隊」および、その裏の「ドラゴンボール(ゲゲゲの鬼太郎)」、「ワンピース」が大きく変動しているので、
今回のニチアサ改編は大人よりも「こどものリアルタイム視聴」に大きな影響を与えた、と言って良いのではないでしょうか?
時間帯的には「ドラゴンボール超」を見ていた子供層がそのまま「仮面ライダー」に移行している感じでしょうか。
ただ、2018年4月以降は「ゲゲゲの鬼太郎」が世帯視聴率、KIDS視聴率ともに好調な推移を見せています。
結論
「大人はリアルタイムで仮面ライダーを見なくなった」代わりに、「子供は仮面ライダーをリアルタイムで見る様になった」という事になります。
戦隊、プリキュアは世帯、KIDS共に好調なことにより、
昨年10月のニチアサ改編は、視聴率に関してだけ言えば、
戦隊、プリキュア、ライダーの主なターゲットである子供には有利に働いている、といえるのではないでしょうか?
ただ。玩具業界紙「トイジャーナル」によると、
世帯視聴率、KIDS視聴率ともに上昇している「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」は、玩具の売り上げは大きく苦戦している様です。
特に戦隊が悪く、売り場によっては昨年の5掛けの売り上げとなっているところも。仮面ライダーも昨年のGW時期の好調がありその分苦しい状況に。(p44)
バンダイ トイ戦略室デピュティゼネラルマネージャー 大関豊秋氏
「怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」は前作の反省を踏まえ、史上初のダブル戦隊やビーグルと変身なりきり、武器、ロボットを一連で連動させた商品MDなど、新しいチャレンジをいろいろと打ち出したのですが、結果を出すことができませんでした。この点は真摯に受け取るべきだと思っています。
3月、4月の段階ですでに危機感をもっていましたが、今回のGW商戦の結果を改めて受け、版権元様とも一緒になって、今から打てる手に関してはすべて打っていこうと動いています。(p48)
トイジャーナル2018.6 GW商戦総括 より
プリキュアも仮面ライダーもその傾向はあるのですが、やはり
「視聴率と、玩具の売り上げは相関関係に無い」という事ですよね。
(ただ、1年くらいはデータを取っていくと傾向は変わってくるかもしれませんので、引き続きデータをとっていきたいと思います)
(おわり)
*1:(データはすべてビデオリサーチ社発表のもの、および テレビ視聴率(特定の番組) | 調べ方案内 | 国立国会図書館、に準じます。また、データは関東地区のものになります。)